本日の記事はこちら
プロ家庭教師名門指導会代表であり、中学受験のすべてを知り尽くした「塾ソムリエ」として活躍している西村則康氏。近著「中学受験!合格する子のお父さん、受からない子のお父さん」には、父親を中心とした家族がわが子の中学受験へどのようにかかわったらいいかのヒントが満載だ。
記事にあるほど極端な例は少ないとは思いますが、自分自身を振り返ってみると思い当たる節があります。
受験の本質は「第1志望合格」ではない
子供の教育に関われるのは家庭しかないんです。ですが、「第1志望合格」という1点だけを目指して、それ以外は価値がないという考え方に陥っている家庭も非常に多い。(中略)たとえ第1志望ではなくても、受験勉強の過程でたくさんの知識や考え方を身に付け、精神的にも大人になって、中学以降で伸びるための素地を身に付けられる。受験の本質はそちらではないかな、と。
第一志望校に合格できればそれに越したことはありませんが、それだけに固執すると中学受験は非常にギスギスしたものになります。
「〇〇中学合格に拘る」⇒「偏差値やクラス分けが気になって仕方がない」という状態になってしまうので注意が必要です。子供が中高6年間で過ごす(一定の)環境を用意するという視点が必要でしょう。
そして、中学受験(準備)を子供の(そして親の)成長機会として捉えると、心の余裕が生まれます。
特に、中学受験後半期(小6の秋口以降)は、上記のような「考え方」が大切だと思います。
中学受験に関与する父親への警鐘
ところが父親というのは、勝ち負けで物事を考えたり、今やっていることの成果をすぐに求めたり、物事を「一本道」で考えがち。
(中略)
同様に、ビジネスの場でご自身にとって成功体験のあるPDCAサイクルを子供に適用してしまうお父さんも多い。
子供は成長途上にあり、日々進化しています。
大人の場合、今日できないことは(努力しない限り)明日できるようにはなりませんが、子供の場合、「今日できないことが明日には難なくできるようになる」ことは普通にあります。
なので、今努力を強いなくても、しばらく放置しておいてもよいケースもあります。少し長い目で成長を見守る必要があります。
また、子供は自分の部下ではないので、組織における階層構造や指揮命令系統に基づく(親の)「権威」は通用しません。親主導のPDCAサイクルは「うまく回らないのが普通」と考えた方が良いでしょう。
勉強のかかわり方のスタンス
中学受験においてお父さんがすべきことというのは、勉強を教えるのではなくて「一緒にやること」。
上下関係とか、「勉強をやる人」と「チェックする人」という関係ではなく、同じ方向を向いて楽しむという姿勢が大切ですね。
あるべき論に注意
共感がベースにある母と子の関係性の一方で、父親は子供に対しても「こうすべき」「こうでなくてはいけない」というふうに一本調子になりがちな面があります。勉強についても、「お前は普段ここができてないから」とまず欠点を指摘して「だからこうしなさい」とやりがち。そう言われた子供は身構えてしまいます。「そんなこと言われなくてもわかってるよ」と反抗的な気持ちになってしまうのです。
大人から見ると子供は未熟な存在。
「ここを強化すればもっと点数が上がるのに」、とか、「こっちのやり方の方が良いのに」と思うこともしばしばです。
子供のためと思って色々アドバイスしても、子供は「聞いていないふり」。そして、親子バトルに発展…。
もし子供に「こうしなさい」と伝える必要があるならば、短く言うこともポイント。厳格なうえ、くどくど何度も同じことを言うのは最悪です。
言いたいことの3つに1つしか言わないようにするとか、アンガーマネジメント(6秒待つ)を試していました。
段々難しくなる勉強
親が子供に勉強を丁寧に教えるのは、6年生にもなるとまず不可能でしょう。その頃には内容が格段に難しくなっていますから。4年生なら一部は可能かもしれませんが、それをやり始めてしまうと親が関われないレベルの問題になったときに困ってしまいます。
(中略)
先生に質問に行くのをハードルに感じて「塾で先生に質問してきなさい」といって聞いてこれる子は本当に少ない。私がおすすめの方法は、子供が横にいるところで塾に電話をすることです。「次の授業の前に、子供がわからない問題があるので教えてもらえませんか?」と前もって親から言っておくだけで、子供は安心して質問に行けるようになります。
4年生や5年生前半あたりであれば、(子供から質問されて)即興で教えられても、6年生になるとかなり難しい。
子供から「教えて」と言われても、「ちょっと待って!ええっと…」という感じになります。しかも、子供は親に聞いてくるときは「甘え」があるため、「質問する準備がないまま質問してくる」傾向があり、質問が要領を得なかったりします。
そうなると、(仕事で忙しいときなど)「今度塾に行った時、先生に聞いてきなさい。」ということもしばしばでした。
幸い、子供が通っていた塾は質問しやすい雰囲気だったようで、塾の先生に聞くことに慣れてくると、親にほとんど聞いてこなくなりました。
「いきなり」は難しいのですが、徐々に手を放していくことも必要です。
親も子供の中学受験に関われる限度がありますので。
30年前と違う?
私自身もそうなのですが地方出身者の場合、勉強を本格的に始めたのは高校2年生からという人も多い。そして早稲田・慶應を第一志望とする場合でも、高3で部活を引退してから、頑張って英単語や日本史を覚えれば合格できたという時代もありました。しかし当時の受験勉強というのは「考える」のではなく「覚える」だけなんです。30年前の成功体験を子供に押し付けようとしてはいけません。
さすがに、30年前の大学入試であっても覚えるだけでは受からないと思います。それなりに、思考力を試す入試だったと思います。
ただ、30年も前の記憶となると「美化」・「矮小化」・「肥大化」するので、現在との客観的な比較は難しいでしょうね。
国家資格試験なども同様ですが、勉強法の賞味期限というのは大体3~5年でしょうか。
それ以前の勉強法は(記憶も薄れたりして)的外れになっている危険性があります。
勉強法については、塾などの指示に従った方が無難です。