【予習シリーズ改訂】4年生算数の夏期講習テキスト販売

雑感
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中学受験の代表的教材である「四谷大塚 予習シリーズ」

現在の4年生からカリキュラムが変更され、これに伴って、小4の夏期講習テキスト(算数・国語・理科・社会)が四谷大塚の教材購入ページから購入できるようになっています。

夏期講習期間中に(正式に)カリキュラムが進む意味

従来、直営校の夏期講習(テキスト)では下期のカリキュラムが一部前倒しで扱われていました。しかし、これはあくまで正規カリキュラムが始まる前の準備的なもの

なので、「夏期講習を受講しなくてもカリキュラムに穴は生じない」形になっていました。

しかし、今回のカリキュラム改訂で夏期講習期間中も(正式に)カリキュラムが進むことになったので、夏期講習を受ける(または、夏期講習教材を入手して学習する)ことが必要になりました。

つまり、「予習シリーズ4年上巻 → 夏期講習テキスト → 予習シリーズ4年下巻」の3冊で4年生の学習内容が網羅されるということです。

※ 算数以外はカリキュラムの抜け漏れに関する記載がないので、他科目(国語・理科・社会)については、「従来通り上下巻だけでも足りる。」ということかもしれません。

なお、現在の5年生・6年生は(カリキュラム改訂前なので)従来通り上下巻で内容が網羅されています。

4年生の算数は以下の通り、夏期講習テキストが正規カリキュラムに組み込まれていることが明記されていますので、予習シリーズ(小4)を使って勉強している方は算数の夏期講習テキスト入手は必須と思われます。

4年生下巻では、上記の単元は全て「既習扱い」になりますので、算数につきましては予習シリーズ4年上巻 → 夏期講習テキスト必修編 → 予習シリーズ4年下巻の流れで学習して、はじめて論理がつながります。 四谷大塚教材購入ページ

4年生の夏期講習教材は購入可能

予習シリーズは基本的に誰でも入手できる教材です。

よって、正式にカリキュラムに組み込まれた4年生の夏期講習教材も同様の扱い(=誰でも入手できる扱い)になっています。

一方、(カリキュラム改訂前の)5・6年生の夏期講習教材は(予習シリーズの正規カリキュラムの一部ではないので)従来通り販売されていないと考えられます。

しかし、5年生のカリキュラム改訂で「5年上 → 夏期講習 → 5年下」で内容が網羅される形になれば、来年は5年生の夏期講習教材は販売されるという流れになると思います。

なお、再来年の6年生(現4年生)でカリキュラム改訂が一段落しますが、6年生の夏期講習教材の販売は「ない」と推測します。

というのも、従来から6年前半で予習シリーズのカリキュラムは完結していたので、6年生の夏期講習教材は(新規単元を取り扱わない)オプション的な位置づけになるからです。

夏期講習テキストだけを買っても…

夏期講習教材が販売されるからと言って、予習シリーズの上巻・下巻を使わずに、予習シリーズの夏期講習テキストだけ購入してもあまり効果がないように思います

というのも、夏期講習テキストは「予習シリーズ」の一部であり、4年生の上巻・下巻と3冊セットで使ってはじめてカリキュラムが網羅されるからです。

国語などは夏期講習テキストだけで完結する内容になっている可能性はありますが、少なくとも算数については、予習シリーズの上下巻と夏期講習教材をセットで使わないとあまり効率は良くないと思います。

夏期講習期間で進むカリキュラムの中身とは?

4年生の予習シリーズ算数の上巻・下巻に含まれない単元(夏期講習教材【必修編】に収録されている内容)は以下8単元とされています。

  夏期講習で扱う項目      従来のカリキュラム
1 小数のかけ算とわり算    ← 4年下
2 分数のたし算とひき算    ← 4年下
3 分数のかけ算とわり算    ← 4年下
4 がい数           ← 4年上
5 差の集まりを考える問題   ← 5年上(差集め算)
6 ご石をならべる問題     ← 4年下(方陣算)
7 いろいろなならべ方     ← 4年下(順列)
8 いろいろな組み合わせ方   ← 4年下(組合せ)

1~3は小数と分数の計算です。従来は4年下巻で扱っている内容が、夏期講習に前倒しとなりました。

4年上巻で「小数の加減計算」が扱われていたと思うので、小4夏休みで小学校で習う計算範囲が一応完結することになります。

当ブログでも計算の先取りの重要性(=新小4の入塾までの先取り、または遅くとも、小4の長期休みを利用しての先取り完了を何度か指摘していますが、改訂後のカリキュラムと軌を一にするものです。

4の「がい数」については、当時「小4前半では少し早いのでは…?」と感じていましたが、後ろ倒しになりました。

概数は、それまで習ってきた(1とか100とかの)「点としての数」ではなく、「大体この位」といったある範囲を持った数、あるいは大雑把な数を扱うことから(数に対する)発想の転換が必要になると考えられるためです。

7~8は「場合の数」で、難関校では出題頻度の高いテーマとなります。
従来は4年下巻で扱われていましたが、(旧カリキュラムでは)4年下巻は他にも重要テーマが目白押しなので、なかなか時間がとれなかった記憶があります。

場合の数では、「(樹形図を使って)系統的かつ丁寧に調べ上げること」、「場合分けをすること」が重要となりますが、こうした作業に慣れるまでには結構時間がかかります。そこで、比較的時間のとれる4年生の夏休みの段階でじっくり取り組むという趣旨と思いますが、的を射た改訂だと思います。

5の「差集め算」は、従来は5年上巻(第9回?)の1回だけで扱っていました。これを4年と5年の2回に分けるという形での改訂と考えられます。

当時小5のSコースの週テスト問題などでは、相当に難しい問題が出ていたような記憶がありますので、「1回だけで完結させるのは厳しい」という判断だと思います。

6の方陣算ですが、「方陣算」単体での拡張性はあまり高くないと思いますが、数の性質(数列)と関連するテーマなので夏期講習の単元に入れたということでしょうか。

個人的には、「4年上巻の『周期算』を移管する案はなかったのだろうか?」と思いました。

ただ、今回の4年生のカリキュラム変更を見ると、「4年の夏休みにカリキュラムを進めることで、小4下巻の負担が少し減った」という印象があります。

下巻は長期休暇によるリカバリー期間がないので、「小4算数下巻の内容を軽減する」ことで、早い段階で算数についていけなくなる生徒を減らしたいという意図があるかもしれません。

提携塾の反応・対応は?

私のようにビジネスの世界にいる人間の習性(=職業病?)として、今回のカリキュラム改訂によるビジネス上の影響も気になってしまいます。

四谷大塚のシステム(予習シリーズ、週テスト、組分けテスト等の一連のシステム)の中で、四谷大塚直営校は実は少数派。最大の提携塾である早稲アカを筆頭に、全国レベルで見ても提携塾が多数派を占めるからです。

従来は、それぞれの塾が(独自の教材を使って)夏期講習を行っていたと考えられますが、予習シリーズのカリキュラム変更により、(自塾の)夏期講習のカリキュラムや教材を見直す必要性が生じていると考えられます。

今年は4年生だけですが、来年は5年生も同様の状況になると考えられます。

今回のカリキュラム改訂で、自塾で夏期講習教材を用意する必要性が薄れたことを「やり易い」と感じるか、あるいは、(夏期講習期間中も単元学習に時間をとられるため)自塾の塾生の学力や弱点分野に合わせたきめ細かい「指導がやりにくくなる」と感じるか…。

提携塾の間でも見解が分かれるのでは…と思いました。

 

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