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子供が中学受験をするにあたり、親にとって負担となるのが入学までにかかる教育費だ。株式会社ファルボが2020年10月に発表した調査によると、私立中学に通う家庭の7割は世帯年収800万円以上。その年収帯の家庭では、学習塾費用だけで小学4年から6年生の合計で約279万円を費やしているという。これだけ高額の「投資」となるだけに、子供についつい「成果」を求めてしまう親もいるだろう。
確かに、中学受験塾に通うだけでも6年生のピーク時は軽く100万円を超えますから、かなりの出費ですね。
「教育投資」ということで、投資といえばどうしてもリターン(=見返り)を期待したくなるもの。子供への教育投資の見返りは成績アップ? 中学受験の成功(志望校合格)?
なかなか身につまされる話です。
「教育投資」ではなく、「教育贈与」とか「教育寄付」という風に考えれば、リターンを期待する気持ちも少し薄れてくるかもしれません。
自身も中学受験時に親から「お金」のことを言われたという30代男性・Cさん。第1志望だった中学に落ちた時、父親から「塾代がなかったら、高級車が買えたな……」とボソッと言われたことが忘れられない。「母親からは『あなたの将来のためにお金をかけているの。わかってるの?』と何度も言われ、『なんで上のクラスに行けないわけ?』とネチネチ言われたものです。日常だったのでもはやスルーしていましたが、さすがに不合格の時の父親の言葉はグサッときました。
普段あまりお金のことを口にしない父親から言われるのは、結構ショックでしょうね。母親からの小言は日常なので最早(何を言われようと)応えないかもしれませんが、普段あまりそういうことを口にしない人に言われるとインパクトが大きい。
お金のことは極力言わない方が良いですが、普段あまり小言を言わず、ここぞという時にビシッと言うというのが子供には効くのでしょうね。
「中学から私立に行かせてもらい、結果的に大学まで私立で、ずっとお金を出してもらったことには感謝しています。と同時に、お金のかかる息子で『ごめんなさい』という思いもあります。ただ、今思えば、僕の中学受験の本質は親の見栄や押し付けで、それを子供への愛と言う形で表現してきたんじゃないでしょうか。
私も親から高校・大学と決して安くない学費を出してもらったことに今でも感謝しています。
ただ、同じようにお金を出してもらったとして、小学生の時に親に感謝できたかと言えば、ちょっと無理だったと思います。
中学や高校あたりになって世の中のことがだんだんと分かるようになってきて、お金の価値が分かってきたり、あるいは、自分が恵まれた環境にいること(=親の庇護の下で不自由なく暮らせること)を自覚するようになってはじめて、(実感として)親への感謝の思いが生まれてくるように思います。
自分自身が気がついて、心の底からそう思わないと、(いくら人に言われても)感謝するようにはならないと思います。
特に、浪人して予備校の学費が必要になった時は、「1年間(本来なら払わなくても済んだ)余分な学費を払わせちゃったな。」という思いから、「(予備校の)学費は決して無駄にしないぞ。」決意を新たにした記憶があります。
幸い(?)、私の両親はあまり教育にうるさくなかった(=日々の生活で手一杯だった)ことから、教育に係るお金に関して何か言われた記憶はありませんが、子供達の教育費がかかる時期、父と2人で「資金工面でため息をつく夜もあった」という後日談を母から聞きました。
また、中学受験は親の受験とも言われるように、親の意向やサポートが色濃く出ます。そもそも、子供の方から「中学受験したい」などというケースは極めてレアケースであり、親主導になるのが通常だと思います。
「(子供が)大人になってからも親への恨みつらみばかり残る」というのでは、やりきれませんが、「親の見栄やエゴもあっただろうが、まあ、色々楽しい思い出もあったかな。何だかんだで愛情を注いでもらっていたな。」という位に(大人になってから)思ってもらえれば、親としては十分なのかな、と思いました。