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広尾学園からは実際にどのくらいの海外大学合格者と進学者数がいるのでしょうか。植松先生はこの点を具体的な数値を挙げて説明してくれました。
「2022年度の海外大学合格者総数184名、2021年度が222名とありますが、受験者実数は2022年度が25名、2021年度が34名です。
2022年度で見ると、単純計算で1人当たり平均で7.36校(=184名÷25名)に合格(出願した数はさらに多いと推定)したことになります。すごい数ですね。
私がMBAに出願したときには、短期間の準備(1年弱)、かつ、すべて個人で手配したという面はありますが、4校に出願するのがやっとでしたから。
確かに、一度準備すれば使い回しできる書類(高校の成績証明書、推薦状、英語スコアなど)もありますが、各校ごとに異なる出願書類(Application Form)や要求されるEssay(1校当たり3~5本位要求されたと記憶しています。)や面接準備などにはかなり時間を要しました。
しかも、私の場合、出願直前まで英語(GMATやTOEFL)スコアをアップさせながらの準備だったので、出願まで本当に大変でした。
恐らく、TOEFLやSATなどの英語の必要スコアは取れている前提での準備でないと、7~8校に出願するのは難しいように思います。
また、Extracurricular Activities(課外活動)も米国大学出願にあたっては重要な要素になります。
さらに、海外一本でなく、日本の大学への進学も視野に入れるケースも多いでしょうから、これらを勘案すると、いずれにしても準備は非常に忙しいと思います。
「コロナ禍や円安によって海外大学の志望者が減っていることはありませんね。最初から海外大学を考えている子が多いというのもありますし、当初は日本の大学を志望していたものの、海外大学での学びに関心を示してシフトする生徒もいます。ただ、コロナ禍になってからは日本の大学と併願する生徒が増えました。コロナ禍の動向次第でオンライン対応がどうなるか不透明です。せっかく海外大学に合格したとしてもオンラインでしか学べないなら、高い学費を払ってそれでいいのか? となるかもしれません。日本の大学と併願しておけば、そういう場合でも考え直すことができますから」
リスクヘッジという点からも、日本の大学との併願というのが現実的な選択肢ということでしょうか。
「海外大学の入試ではリーダーシップを求めるところもあれば、そうでないところもあります。リベラルアーツを根本的に理解しているかを見ているところもありますし、総合大学であれば、どれだけ専門性を高めたいと考えているかを試すところもあります。言い換えれば、海外大学の魅力はそこにあるのかなと思います。何千何万と存在する大学の中から、どの国のどの大学を選ぶのか。それぞれの大学の特徴をしっかり調べて、どの学部で学ぶのかを自分で決められる。自分の求めるものに従って、いろいろな進路が用意されているのです」
確かに選択肢は広いのですが、その分、進学候補先の大学の情報収集には、かなり時間を要すると思われます。日本のシステムとはだいぶ違うので、その辺も含めて(しかも英語という言語で)情報収集するのはなかなか大変そうです。
また、大学自体の調査だけでなく、大学周辺の環境(治安)も非常に重要ですから、このあたりも入念にリサーチする必要がありそうです。
「これからの日本の高校生たちの卒業後の進路が大きく変化するかどうかは何とも言えないですね。やはり国内大学に進学する子たちが多いのでしょう。誰もかれもが海外大学を目指すのが良いとはわたしも思いません。向き不向きも、外的状況もありますからね。それでも、海外大学を含めるとより良い選択肢があるのに、それを知らないまま選択肢を狭めてしまっているのはもったいないことだと思います」
やはり、「向き・不向き」という要因が一番大きいように思います。
私の知人に、日本の某国立大学を中退して米国留学し、その後、米国有名大学院でMBAを取得し、さらに欧州で博士号をとった方がいます。
彼は「日本の教育システムは、自分には合わなかった」と言っていました。現在も海外在住で、恐らく日本に戻ることはないでしょう。
また、記事にはありませんが、大学卒業後の進路も気になるところです。
海外大学卒業後に日本に戻ってくるなら(卒業できれば良いので)別ですが、大学卒業後に米国等の海外大学院へ進学するのであれば、大学の成績も非常に重要になります。
有名大学に晴れて合格できたとしても、大学院へ進学するためには、その有名大学で高い成績評定(GPA:Grade Point Average)をとる必要があります。まさに、気が抜けません。
海外大学を目指すということは、英語力や学費の問題だけでなく、人並外れたタフな精神力が求められるように思います。