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森上さんによると、以前の中学受験は、学力上位層が難関校に挑戦するのが主流だった。だが、中学受験が広まり、上位層に限らず多くの子どもが挑戦するようになったことで、「有名校に挑戦させたい親の意向を受け、子が苦しむケースも少なくない」という。
首都圏を中心とした中学受験ですが(例えば30年前に比べると)受験者層がかなり広がったと思われます。
最近では(従来の4科目や2科目入試に加えて)「1科目入試」、「英語入試」、「適性検査型入試」など新たな入試形態をとる学校も増えつつあります。
多様化する入試と保護者の負担
新しい入試制度を採用する学校の場合、塾にはそれほどノウハウが蓄積されていなかったりします。
また、新たな入試制度を採用する学校の場合、入試形態自体が「多様化」しているが故に、学校ごとに個別対応が必要になったりします。
したがって、こうした学校を志望校とする場合、保護者自らが情報入手のためのアクションを早めに起こしたり、保護者自身が学校研究を積極的に行う必要があります。
その結果、(多様な入試制度を採用する)学校選びを真剣に考える場合、保護者自身の負担がかなり増えると思われます。
塾に任せられる部分が多い従来型入試
一方、4科目型入試や2科目型入試といった従来型の入試を採用する学校の場合、塾内部で情報がかなり蓄積されています。したがって、学校の情報は黙っていてもある程度入ってきます。
また、多くの進学塾では4科目型入試を前提に教材が用意され、カリキュラムが組まれているため、塾の指示にしたがって勉強していれば、保護者としては(ある程度)安心できます。
とりわけ、大手進学塾では(4科目入試を採用する)難関校の合格実績をアピールすることで、多くの生徒を集める戦略をとっているので、難関校(偏差値表の上の方の学校)対策に力を入れることになります。
この結果、大手進学塾にお子さんを通わせている保護者は(早い段階から)学校のランク付けを意識するような環境に身を置くことになります。
偏差値の功罪と中学受験ゲーム
大学受験や高校受験だけでなく、中学受験でも広く用いられる「偏差値」という指標。
「偏差値」という単一の指標によって合格可能性がある程度わかる(思考のショートカットができる)ことから非常に便利です。そこで、「我が子の偏差値を上げ、少しでも偏差値表の上の方にある学校へ」という親の思いが生まれるのも無理からぬことです。
かくして中学受験は、偏差値アップ・クラスアップ(維持)を競うゲームと化していきます。
とりわけ難関校を目指す中学受験の場合、(ゲームで高得点を狙うような感覚で)ゲーム性がさらに強くなっていきます。
そして、(当の子供よりも)親の方がこのゲームに夢中になってしまいます。子供は飽きればゲームをやめますが、親の方は…。
かく言う私自身、子供が中学受験準備をしているとき、こうしたゲームにかなり夢中になっていたと自覚しています。
ゲームに乗るのはOK、但し、のめり込み過ぎないように
こうした「ゲームには乗らない」という強い気持ちを維持できる親御さんは良いのですが、(塾という)ゲームに乗せる環境が用意されている場では、どうしてもゲームに乗ってしまいがちです。
もっと言えば、ゲームに乗ること自体はそれほど悪いことではありません。
危険なのはゲームにのめりこみ過ぎてしまうこと。ゲームの勝敗(偏差値やクラス)が価値観の中心になってしまうことにあります。
「(中学受験という)ゲームに夢中になっている自分(達)」を冷静な目で見ることができる「もう一人の自分」を意識することが重要ではないかと思うのです。
通える学校は1つ
中学入試の全日程が終わると、中学受験というゲームは終わります。
実はその少し前、年内には塾の模試等が終わるので、偏差値ゲームやクラス昇降ゲームは一足先に終わります。
年明け以降、入試直前期を迎えるとともに、中学受験というゲームはよりシンプルなものになります。
❷ 入学試験は合格か不合格かの2つに1つで、「80%の合格」などということはない。
❸ 仮に何校受かろうとも、通える学校は一つだけ。