今日はコロナ関係の記事を2つとりあげます。
1つは、(コロナ禍での)小学校の欠席の是非を問う問題、そしてもう1つは、騎手の持続化給付金の不正受給問題です。
中学受験と小学校の欠席
「柔軟な措置」
中学受験準備のため、コロナ禍の特例的な欠席の扱いを利用して小学校を自主休校する児童が2020年度末に多く存在したことについて、文部科学省の萩生田光一大臣は2021年4月14日、「本来の義務教育の在り方として望ましくない」と語った。
新型コロナウイルスの感染不安を理由に学校を休ませたいと保護者から相談があった場合の対応について、文部科学省は「教育活動の実施等に関するQ&A」や「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」に記載。生活圏で感染経路が不明な患者が急激に増えている地域で、同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいるなどの事情があり、他に手段がない場合など、「合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上『出席停止・忌引等の日数』として記録し、欠席とはしないなどの柔軟な取扱いも可能」としている。
全国の小学校で採用されていたであろう「欠席扱いしない措置」。
例年(コロナがまん延する以前から)、年明け頃から中学入試が終わるまで、長期間小学校を自主的に休むケースが散見されました。
今年は新型コロナという脅威がある中、例年にも増して長期欠席者が増加したことは想像に難くありません。これは各ご家庭の考え方であり(部外者がとやかく言う問題ではないので)その是非についてはここでは立ち入りません。
正論では、「(義務教育である)小学校学校を優先すべき」ということになるのでしょうが、感染リスクの懸念などの合理的な理由があれば、(欠席扱いとしない)柔軟な措置も必要です。
何処で線を引くのか
また、義務教育については「原則登校対面が望ましい」との考えを示し、「まずは学校において可能な限り感染リスクを低減させ、保護者の理解を得ながら児童生徒が登校して学習できるようにすることが重要」と指摘。児童生徒の健やかな学びを最大限保障するため、必要な取込みを適切に行うようあらためて自治体に周知したいとした。
気になる「対応」ですが、学校側で出来ることは「感染対策を一層徹底させる」ことで、「集団感染リスクをさらに低下させる」以外にはないと思います。
その上で、(結局は)各ご家庭の判断に委ねるということになるのではないでしょうか。
なぜなら、結局は家庭の考え方に帰着するからです。学校側には家庭の事情(=本当に正当な理由があるのかどうか)を検証する手段も時間もありません。しかも、感染リスクに対する感じ方・考え方はご家庭によっても異なります。
したがって、柔軟な措置(=家庭からの自己申告)をとらざるを得ないわけです。「真意」は家庭にしか分からないわけですから、明確な線引きはできないと思います。
ただ、中学受験をするご家庭を含め、「柔軟な措置」に便乗して(小学生を持つご家庭が)同様に行動したら…。恐らく公教育としての小学校は機能しなくなるはずです。
「正解」がない問題ではありますが、心に留めておくべき問題だと思います。
騎手の持続化給付金の不正受給
収入減はコロナの影響か?
関係者によると、騎手らは担当馬の成績によって得られる賞金が新型コロナの影響を受けて減少したとして受給していた。だが実際には昨年、中央競馬の中止はなく、レースの回数は過去最多で、影響はほぼなかった。
持続化給付金の受給要件の一つに、「新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者であること」というものがあります。
少し考えればわかりますが、競馬の騎手などは、レースの成績によって賞金が左右されるので、収入は月によってバラバラになるでしょう。実際、コロナがなくても、前年同月比で売上が50%以上減少するなどということはザラにあるわけです。
これは競馬の騎手のようなプロのスポーツ選手だけではなく、(月々の売上が変動する性格がある仲介業務などの)成功報酬型な事業を行っている事業者にも当てはまるわけです。
現に、そうした事業を行っている事業者で持続化給付金を申請した人を何人か知っていますし、「その減少が本当にコロナの影響によるものなのかどうか」については本人のみ知り得る問題だったりします。
持続化給付金は、コロナの影響で困窮している事業者の方々に速やかに資金を提供することがその制度趣旨なので、「できるだけ多くの人を対象に、かつ、できるだけ早く支給する」という方向で進められてきましました。
ところが、旅行業や飲食業のような(コロナによる収入減が明確な)事業は別として、実際には「コロナの影響で収入が減ったかどうか」という判断は難しい。
広くとらえれば、皆がコロナの影響を受けているわけで、「コロナの影響云々」の部分は、全事業者に当てはまると言えなくもありません。
「売上減少がコロナの影響によるものなのかどうか」などという(正当性の)要件を、一々検討する時間や手間などなく、結果、売上が前年同月比で50%以上減少していれば、半ば機械的に支給する他はないわけです。
ただ、少し時間が経過して冷静に中身をチェックしてみると、「(収入は減っているが)コロナの影響とは言えないのではないか」ということで、今回問題が発覚したのではないでしょうか。
持続化給付金の趣旨は「本当に困っている人を助ける」点にあったと思いますが、もしかすると本当に困っている方の中には、①申請書などの書き方が分からない方、② 給付金を受けることを潔しとしない方、も相当数おられるかもしれません。
正解のない問題どう対処するか?
中学受験のような試験には必ず正解があります。
(中学)受験の最中にあるときは、「正解のある問題をいかに効率よく解くか」が至上命題となります。
しかし、世の中には正解がない問題も沢山あります。
我々親世代はもちろん、中学受験を終えた子供達も、こうした正解のない問題をじっくり考える時間を持つ必要があると感じた次第です。