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中学受験の難しさ(問題自体の難しさ)
まず「質」が違う。
お父さんたちが小学生だった30年前の超難問は、今の標準問題になっている。30年前の超難関校・ 開成中で出題されたのと同じような問題が、今は偏差値40~50くらいの学校でも出ているのだ。とりわけ算数では、この傾向が強まっている。
新しい問題が登場すると、今度は大手塾が再びそれを解くテクニックを開発し、教える。もし、翌年の入試で同じような問題が出て、「こんなの塾では習っていない」と言われたら困るからだ。こうして、両者のいたちごっこがヒートアップした結果、塾のテキストは年々分厚くなり、受験生が勉強すべき「量」が膨大になってしまった。それが、今の中学受験を大変にしているのだ。
「学校側が新しい入試問題を作成」→「塾がその入試問題をテキストに盛り込み、テクニックで解ける方法を開発して教える」→「学校は塾のテキストにない新しい問題を作成」→「塾が再びテクニックで解く方法を教える」→ … この連鎖(いたちごっこ)によって、中学入試問題が難化したということですね。
ただ、中学受験の難しさには問題の難しさ以上に「時期の難しさ」があると思います。
中学受験の難しさ(時期の難しさ)
また、親の成功体験は、中学受験に大学受験の成功体験が上書きされていることが多い。だが、大学受験の成功体験は、小学生には通用しない。小学生の脳は、まだ発達途中の段階だからだ。大人の脳とほぼ変わらない高校生なら、既存の知識に新しい知識をつなげて考えを巡らせることができるが、小学生はそもそも既存の知識も、人生経験も少なく、知識をつなげて考える力が不十分だ。
小学生の子供に気持ちよく勉強をさせる秘訣は、「ちょっとだけ頑張らせる」ことだ。この「ちょっとだけ頑張らせる」というのは、「なんとかなりそう」と思える範囲を指す。人生経験がまだ浅い子供は、遠い目標に向かって、逆算しながら頑張るといった高度なことはできない。でも、「これくらいならやれるかも」と思える範囲であれば、「じゃあ、やってみるか」と頑張ることができる。
中学受験では大学受験などと違い、取り組んでいるのが10~12歳程度の子供ということが難しさの大きな要素だと思います。すなわち、中学受験という時期の難しさです。
学んだ知識の組み合わせ方、試験日を見据えて計画的に頑張るといった高度なことはなかなかできないため、親のサポートが必要ということになります。
どこまでサポートが必要かはお子さんの成熟度によって大きく左右されます。当然、成熟度の高いお子さんほどフォローは少なくて済む。
親として(多少の強制力を行使して)子供に勉強させつつ、出来る限り子供の自主性も育んでいくという二律背反することを手を変え品を変え行っていくことが非常に難しいと思います。
小学生の子供に気持ちよく勉強をさせる秘訣は、「ちょっとだけ頑張らせる」ことだ。この「ちょっとだけ頑張らせる」というのは、「なんとかなりそう」と思える範囲を指す。人生経験がまだ浅い子供は、遠い目標に向かって、逆算しながら頑張るといった高度なことはできない。でも、「これくらいならやれるかも」と思える範囲であれば、「じゃあ、やってみるか」と頑張ることができる。
子供に頑張らせるヒントが記されています。
現状から少し上の「現実的に到達できそうな短期的目標」を設定するというのは確かに効果的です。遥か先の中学受験ではなく、「計算テスト(漢字テスト)で満点を取る」、とか、「塾のクラスを1つ上げる」といった目標を持つのは良いと思います。
無理をさせない中学受験の是非
ところが、ここで違った考えを持つ親がいる。頑張らせることは「かわいそう」と思い込んでいる親だ。不思議なことに、中学受験を経験したお母さんに多い。そういうお母さんは、自分が中学受験をしたときに、「まわりの子はみんな遊んでいるのに、自分は我慢をして勉強した」「夜遅くまで勉強をさせられてつらかった」などの経験をしていて、わが子にはそんなつらい思いはさせたくないと、子供の可能性を考えず、あえて“ゆるい中学受験”に向かう。
ここで言う「ゆるい中学受験」の正確な意味は分かりかねますが、「実力的にはもっと上のランクの学校に行けるのに、そこまで無理して頑張らせない受験」という意味でしょうか。
実際、「どこまで頑張らせるか」はご家庭の判断ですし、また、「どこまで頑張れるか」はお子さんの個性でもあります。
難関校を目指して大手進学塾に通い、長時間かけて大量の教材をこなすことが必ずしも「中学受験のあり方」というわけではないと思います。中学受験はあくまで中間地点に過ぎないので、ご家庭やお子さんに「フィットした」やり方で、将来の可能性の芽を摘まないようにお子さんの可能性を広げていくことができれば良いと思うのです。