今日は動画授業のメリット・デメリットについて触れたいと思います。
動画授業と教育コストの低減
最近では、インターネットの普及も相まって動画授業が充実してきました。
動画授業の魅力としては、廉価または無料で質の高い授業が視聴できることが挙げられます。
教育コストは、「とにかく良いもの・最高のものを…」と考えるとまさに青天井になります。もちろん、高額なサービス(端的には塾・個別・家庭教師)を利用することも時には必要でしょう。
しかしこれらに長期間・過度に依存してしまうと、教育コストはどこまでも上がってしまいます。何といっても、教育コストを大幅に押し上げていくのは、参考書や問題集にかかるコストなどではなく、人件費のカタマリのサービスに対するコストだからです。
この点、動画講義などの無料・廉価オプションを利用しつつ自学自習できる力を高めていけば、仮に高額サービスを使うとしても、期間限定で最小限の利用で済みます。
将来にわたって教育コストを低減する方策はいくつもあると思いますが、基本的には自学自習スタイルを早期に確立することに尽きると思います。
動画授業を上手に利用することが、ひいては自学自習スタイルの確立にも寄与し、教育コストを削減することにも繋がると思います。
動画授業のメリット
動画授業のメリットとしてはコスト以外にも、以下のようなメリットがあると思われます。
モチベーションアップの材料
自宅で一人でテキストや問題集に取り組めれば理想ですが、これはなかなか難しい。分からないところが出てきたり、そもそも一人で勉強するとモチベーションが高まらないこともあります。
この点、動画授業を使えば(通塾などから得られるモチベーションより弱いものの)、勉強に対するモチベーションが高まります。
動画授業を担当する講師は教え方が上手な方が多いので、勉強内容の理解も進むことから、「わかる⇒ 面白くなる ⇒ 勉強する」という好循環が生まれる可能性があります。
正しい方法やプロセスを学ぶ
参考書や問題集には正解や解説が書かれていますが、これを独力で理解するのはなかなか難しい。また、限られた紙面で解答しているため、考え方や途中式が省略されていることも多い。
この点、動画授業の場合は数式展開などの省略が少なく、また、講師の話す言葉なども解答のヒントになっていたりするので、紙の教材よりも理解が進みます。
また、正しい計算の仕方(=整然と書くこと)とか、線分図やダイヤグラム、あるいは図形の作図の仕方など、講師の板書を通じて学ぶことができます。
塾などでも板書を使った解説があると思いますが、いかんせんかなり速いスピードだったりします。特に、ノートをとるスキルがまだあまり高くない小4~小5前半あたりでは、(少し時間をかけて)動画授業を利用してノートをとる訓練をしておくことで、小6以降ストレスが少なくなるように思います。
いつでもどこでも何度でも
動画授業はインターネット環境があれば、いつでもどこでも視聴ができます。また、分からない部分や理解できなかった部分などは何度も繰り返し視聴することができます。
今までお子さんに付きっきりで教えていた親御さんも、分かり易い動画を見つけることに注力した方が、(自身のストレス軽減も含めて)プラスになる可能性もあります。
動画授業のデメリット
何事も良い面があれば悪い面があるわけですが、このことは動画授業にも当てはまります。動画授業には以下のようなデメリット(課題)があると思われます。
品質はバラバラ
大手受験専門機関が作成した専用動画の質は相対的に高いものの、個人で作成した動画の内容(品質)はかなりバラバラです。また、動画の中の講師との相性もあります。
なので、教え方に定評のある動画を利用したり、学習動画を時々リサーチしてみて、分かり易い動画を予めピックアップしておくなどの準備も必要だと思います。
何となく分かった気になる
塾の授業なども同様ですが、分かり易い動画解説を聞いていると、「何となく分かった気になってしまう」ということがあります。
動画を視聴して満足するのではなく、視聴してから暫く日を置いて、動画の中で扱われた問題が「自力で解けるかどうか」を確認する必要があるでしょう。
飽きる
塾などの臨場感がある講義とは違って、動画授業を長く視聴していると飽きてきます。
なので、1時間延々と続く動画よりも途中で区切りがあったり、1本の動画が短めの時間で作成されているものを選ぶと良いように思います。
時間がかかる
動画授業というのは視聴時間がかなりかかります。1.5倍速で視聴出来たりするので、時間短縮は可能なものですが、それでもかなり時間がかかる。
塾での1時間の授業は短いと感じる生徒も、動画で1時間視聴するとなるとかなり長く感じるはずです。
個人的には、動画を使って全体を勉強するというのではなく、理解が不十分な個所に絞ったり、塾などの授業準備(難し目の単元の予習)に使うという感じで、部分的に使うといった方法が良いのではないかと思います。
いずれにしても、今後はますます動画サービスの質・量は向上していくはずです。
しかも、動画利用は中学受験だけでなく、中学以降になってから、あるいは社会人になってからの勉強にも活かすことができます。
「どのような使い方をすれば最も効果が出るのか」ということを意識しながら動画授業を利用することは、中長期的にも意義が大きいと思われます。