SAPIX、日能研…中学受験「学習塾」の栄枯盛衰

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SAPIX、日能研…中学受験「学習塾」の栄枯盛衰|受験戦線で要注意の新潮流
それまでほとんど、裕福な家庭の子どもに限られていた中学受験が平均的な家庭の間でも増えだしたのは1960年代。政府...

私自身は中学受験経験者ではないので、中学受験の歴史についてはあくまで見聞した情報によらざるを得ないのですが、関東の勢力図としては、「日進」→「四谷大塚」→「日能研」→「サピックス」という感じで現在に至っているようです。

日進(1960年代)

そんな中、首都圏の受験戦線を席巻していたのが日本進学教室、通称「日進」である。小学6年生を対象に毎週日曜日、テストを実施。(中略) 日進を知らずして中学受験は語れないというほどの絶対的存在だったが、70年代に入ると急速に衰退していく。そのあたりの事情に詳しい学習塾経営者は次のように話す。「創設者が80歳を超え、長女に経営を譲ったのですが、そこから内紛が起こり、屋台骨を支えてきたスタッフが次々に出ていった。瞬く間に生徒数は減っていき、いつのまにか消滅してしまったのです」

私の知人に全盛期の「日進」に通っていた人がいて、以前話を聞いたことがあります。場所は代々木付近にあったようです。

当時の受験生は市販教材を使って自宅学習をしたり、近所の塾などで勉強して、日曜日にテストを受けるということを繰り返していたようです。

四谷大塚(1970年代~)

代わって台頭したのが四谷大塚だった。 「やはり、日曜テストを中心に運営していたのですが、日進の寡占状態に風穴を開けることはなかなかできなかった。そんな時に、迫田文雄さんという小学校の先生を教務部長としてスカウト。四谷大塚の代名詞ともいうべき『予習シリーズ』を手がける。徐々に注目を集め、日進の弱体化もあって、その立場が逆転してしまうのです」(同)予習シリーズは「中学受験のバイブル」とも呼ばれているテキスト。質の高さには定評があり、何度も改訂を繰り返しながら、現在も四谷大塚の直接校舎や提携塾で使われ、一般販売もされている。

四谷大塚のHPを見ると、四谷大塚の沿革が見ることができるので興味深いものがあります。
こちらも1954年創立でかなり歴史が古いです。

当時は(日進同様)日曜テストのみを行っていましたが、「日進」の牙城をなかなか崩すことができなかったようです。

ところが、①予習シリーズを販売(1960年)することに加え、②週テストを小5からスタートしたこと(早期スタート)により、勢力地図が大きく塗り替えられたそうです。

四谷大塚には現在でも週テスト会員」という制度がありますが、これが四谷大塚の原形と言えるでしょう。

「予習シリーズ」の登場により、予習シリーズを使って平日勉強し、日曜日毎にテストを受けるという形式が確立されました。

また、塾生がテストを受けている間、「父母教室」で父母は授業を受けていたようです。なお、「父母教室」については、現在も(時間は各科目数分程度と短目ですが)ネットで配信されています。

日能研(1990年代後半~)

日進を倒し、トップ中学受験塾に躍り出た四谷大塚だったが、興隆は長くは続かなかった。90年代後半になると、躍進目覚ましい日能研に、難関中学への受験実績で抜かれるのである。

四谷大塚全盛時代、(父母教室の授業内容を参考に)勉強は家庭で「父母が教える」という形だったようです。しかし、時間的にもあるいは、教える内容的にもなかなか難しい場合があります。

逆に言えば当時は、「そうしたことができるご家庭のご子息やご息女」でなければ、中学受験(とりわけ難関校と言われる学校の受験)などできなかったわけです。

この流れを変えたのが「日能研」だと思います。

四谷大塚の「予習主義」(=予習シリーズで勉強して週テストを受ける流れ)に対抗し、塾で学習内容を教え、家庭でその定着を図る「復習主義」を取り入れました。

これは、家庭で勉強を教え込まなくても、塾にある程度「お任せ」しておけば中学受験の面倒を見てもらえるという点で画期的なシステムです。

ちょうど「男女雇用機会均等法」(1985年制定、1986年施行)により、女性の社会進出が本格化し、夫婦共働き家庭の子供達が増えていった時期とも符合します。

日能研の中身についてはよく知りませんが、「中学受験の敷居を下げたこと(=中学受験の大衆化)」「授業中心の塾のスタイルを確立した」という2点で画期的だったと思います。

サピックス(2000年代~)

一方、頂点に立った日能研も、長くその座にとどまることはなかった。次第に、難関校への合格者が減ってしまったのである。さまざまな層の生徒を入れて、マンモス化が進むにつれ、難関校を目指す受験者や保護者から敬遠されるようになっていく。間口が広がったぶん、成績上位者にとって充足感が乏しくなったせいだ

難関校受験に絞れば、近年、絶大な人気を誇っているのがSAPIX小学部。前出の日進、四谷大塚、日能研が1950年代に誕生したのに対し、SAPIXがスタートしたのは89年。家庭教師派遣業から学習塾に鞍替えしたTAP進学教室が分裂する形で発足した。

現在、難関校における中学受験において圧倒的な地位を占めるサピックス

①復習重視、②授業当日配布する分冊テキスト、③少人数授業、④頻繁なクラス昇降、⑤休憩なし(=拘束時間は大手塾では最も少ない)、⑥1つ1つの校舎規模は他塾に比べて大規模といった特徴があります。

サピックスについても中身はよく知らないので、これ以上の言及は避けますが、「四谷大塚」や「日能研」に比べてかなり後発なので、業界のしがらみや固定観念にとらわれない仕組みを作り上げた故に成功したと言えるかもしれません。

10年後、20年後はどのような状況になっているのでしょうか。

 

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