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「うちの子、算数ができないんです」とG君のご両親に相談されたのは5年生の春。算数の偏差値は40でした。実際にG君を指導してみると、考え方の道筋を示されれば「あ、そういうことか」と自力で解き進めていき、「こういうふうにも考えられるよね」と別解をどんどん見つけ、自分の言葉で説明してくれます。「テストの偏差値はたしかに40だけど、実際は60近いポテンシャルがある」という手ごたえどおり、最終的に難関校を受験するまでに至りました。
一方、最難関校を目指しているMちゃんは5年生の終わり頃まで偏差値が60近くありましたが、解法を丸暗記して基礎が脆弱な、いわゆる「フェイク学力」。6年生の内容はどんどん高度になるし、暗記で太刀打ちできなくなるよとさんざん伝えましたが、勉強の仕方を変えないままどんどん成績が下がっていき、最終的に偏差値50台前半に落ち着きました。
フェイク学力か本物の学力かを見分ける方法として、「問題の解き方を自分の言葉で説明させてみる」という方法があります。
例えば、以下のような「差集め算(過不足算)」の問題。
何人かの子供に1人につき9枚ずつカードを配ったところ6枚不足します。1人あたり7枚ずつ配ると26枚あまります。カードは全部で何枚ありますか。 |
(答) 子供の数 ⇒ (6+26)÷(9-7)=16(人)
カード枚数 ⇒ 9×16-6=138枚
全体の差(32枚)と1人あたりの差(2枚)に注目するのが「差集め算」ですが、本質が理解できているのか、単に式の形を覚えて数字を当てはめているだけなのかは子供に説明させてみると良くわかります。例えば、「あまりと不足を足すのはなぜ?」と質問してみて、的確な答えが返ってくれば子供が本当に理解していることがわかります。
本質的な理解を前提に結果的に式の形を覚えるのと、単に式を暗記することは違います。
中学受験の算数では、①基本的事項の本質を理解し、②問題演習を繰り返して、③解法(の流れ)を身につけていくというのが大筋の流れになると思います。
基本的事項の深い理解に至っていれば、理論的にはより多くの問題に対応できる(=少ない演習量で済む)はずですが、1つの問題から多くのことを学び、深く理解するというのは小学生には案外難しい。
さらに、難関と言われる中学校を受験する場合、身につけるべき基本事項(≒解放パターン)自体がかなり増えてきています。
結果的に大量の問題演習(≒パターン練習)をせざるを得ない状況となっているというのが、昨今の中学受験の潮流なのでしょう。