四谷大塚『予習シリーズ』改訂で3年生2月入塾では手遅れになる可能性も

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中学受験ブームのほかに決定的なのは、2021年に四谷大塚の『予習シリーズ』が改訂されたことでしょう。これにより、塾のカリキュラムは前倒しになり、より入塾の低年齢化が進むと僕は考えています。

四谷大塚のテキスト『予習シリーズ』は中学受験の定番教本です。このテキストは早稲田アカデミー系列や中小塾で利用されていますが、2021年新4年生分からの内容が大幅に改訂されました。

改訂の理由として多くの塾関係者が推測しているのは、入試で問われる内容の変化です。知識やテクニックだけでは解けない、思考力を問う問題が多く出されるようになり、受験生はその対策に時間をかけなくてはならなくなりました。

受験学年の6年生で思考力問題の対策にたっぷり時間をかけられるよう、従来は6年生の夏前に終わらせていたカリキュラムを、5年生のうちに終わらせようとしているのでしょう。

6年生で新しく学ぶはずだった内容を5年生でやるようになったのに伴い、5年生で習っていた単元の一部を、4年生で習うことになりました

このブログでも何度かとりあげている予習シリーズの改訂。

印象としては、4年生の夏休みにカリキュラムを進めることで、従来6年生前半までかかっていた単元学習をおおむね5年生の間に終わらせてしまうというのが改訂の意図と思われます。現段階では5年生の上巻までの改定内容しか分からないので、何とも言えない部分はありますが。

塾の典型的な算数のカリキュラムでは、4年生から5年生までは単元学習の段階で、「約数と倍数」、「数列」、「つるかめ算」、「速さ」、「比」、「三角形」、「柱体・すい体」といった単元を毎週学習します。

その後、6年生になるとこれらの単元をもう少し集約して、「文章題」、「数と規則性」、「平面図形」、「立体図形」といった内容を学習していきます。

さらに、6年生の夏休みになると、6年生の前期で行った(ある程度集約した)単元学習の復習に加えて入試演習が加わります。

そして、秋からは完全に(範囲無しの)入試演習に突入します。

実際、6年生の前半ではほぼ入試問題は解けません。もちろん解ける問題はありますが、入試最低点から見ると全く足りない状況です。夏休みの頃もあまり変わりません。

入試問題は基本的に総合問題なので(よほどできるお子さんを除けば)、単元学習をしっかりやっただけでは、まったく解けないのです。

それも当然。個々の単元で学んだ内容について、これらを組み合わせたり、結びつけたりする訓練をまだ行っていないからです。

入試レベルの問題がようやく解けるようになってくるのが、総合問題のトレーニングが始まる頃、つまり秋以降となります。

恐らく予習シリーズの改訂は、入試演習期間を長くとる(=期間を長くとることで、様々なパターンの問題に取り組むことができる)という意図があると思います。

例えば、難関校を狙うお子さんには、6年生の夏前から総合演習に取り組めるような体制を準備する。大学受験で高校2年生までに全範囲を終え、高校3年生では入試演習を行うというのと基本的には同じような効果を狙っているように思うのです。

入試演習期間が短い場合、短期間に急速に学力を伸ばすお子さんでないと難関校になかなか受からない。しかし、準備期間を長くとることで、漸進的に学力を伸ばしていくお子さんも難関校に手が届くという構造です。

これまでも、各塾はカリキュラムを前倒しにして入試演習期間を徐々に長くしてきた経緯がありますが、今回の改訂でその期間がさらに伸長し、上位層のすそ野が広がって競争が激化することはほぼ間違いないと言えるでしょう。

以上を踏まえ、僕は3年生の夏休みから入塾するのが今後多くの家庭にとってベストになると思っています。塾にもよりますが、低学年のうちは週1日程度の通塾が一般的なので、気負うこともないと思います。

中学受験のカリキュラムが前倒しになることで、入塾時期を早めたり、あるいは都内の一部の塾(校舎)では、低学年からでないと入塾できない状況も生じています。

もちろん、どのような受験戦略で臨むのかはご家庭の考え方次第なのですが、塾の思惑に左右されてしまう(=塾に生殺与奪兼を握られてしまう)というのは、個人的にはどうもしっくりきません

これだけ学習手段が多様化している昨今、塾に通う前の基礎学力作り、塾の学習を補完する効率的な家庭学習の方法など、ご家庭の工夫次第で出来ることは沢山あると思うのです。

予習シリーズを使う最大のメリットは、カリキュラムがオープンになっていることにあると思います。「何時、どのような内容の学習を行うのか」、「難しそうな単元か、比較的楽な単元か」という点が事前に分かりますし、4年生の段階で6年生までの教材を揃えれば(やや出費は増えますが…)、中学受験で勉強する内容・流れを俯瞰できます。

直営校に通うも良し、提携塾に通うも良し、進学くらぶを利用するも良し、ご家庭で学習するも良し…様々な学習形態がとれる点が予習シリーズを使う最大のメリットだと思います。

 

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