中学受験、「大学付属校なら安心」は大間違い!? 進学校並みの厳しさに付属高校進学すら危ぶまれ

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中学受験、「大学付属校なら安心」は大間違い!? 進学校並みの厳しさに付属高校進学すら危ぶまれ⋯⋯
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ...

私も(高校から & 大学外部ですが)付属出身者です。

なので、今回の記事の背景も自身の経験から多少は理解できます。

「付属校=ゴール」の幻想

「思えば、合格発表の時が喜びのピークでしたね⋯⋯。これで亮平の将来は約束されたも同然! と思い、私は舞い上がりました。でも、甘くはないんですよね。それからが地獄の始まりというか⋯⋯」

付属校は大学入試を気にせずに学生生活を送ることができます。ただ、(人気の高い)希望学部に進むためには評定平均や付属校共通の進学テストのようなものである程度の点を取らないといけないので、「全員が無条件で」進学できるわけではありません。

ところが、付属校に入ると「(せっかく付属に入ったんだから)もう勉強しなくても良い」という感覚が生まれるんですね。本人だけでなく親も「入学したからもう勉強しなくて良い」という思い込みがあったりします。これはかなり危険です。

確かに、高校入試や大学入試用の特別な勉強をする必要はありませんが、「勉強そのもの」の必要性がなくなったわけではないので。

私の高校時代を思い出してみると、クラスの中で自宅等で多少なりとも勉強していたと思われる生徒は半分位。つまり、残り半分は普段は全く勉強しておらず、試験前に勉強していただけという状態だったということです。

中学受験(高校受験)で勉強していた頃は、自宅等でもそれなりに勉強していたと思うのですが、入学後にほぼゼロ勉になってしまう層が、付属校は結構多い傾向があると思います。

たとえ1日10分とか20分でも、「ゼロ」と比べれば天と地の違いがありますから。

美穂さんのように我が子が「おっとりとした性格」だから、大学付属校を選んだと話してくれる母がいるが、「大学付属校=のんびりしている=勉強しなくていい」というのはまったくの誤解であると思っている。

まさにこれに尽きます、
「もう勉強はしなくてよい」と子供だけでなく「親も」思い込んでしまうという勘違いですね。

落ちこぼれの原因(1)違和感か?

亮平君はおっとり型でやさしい性格。「俺が、俺が!」というタイプとは正反対らしいのだが、積極的でキラキラしているように見える付属校のクラスメイトたちに、次第に違和感を抱くようになったという。

私も似たような性格でした。
何しろ、高2の時の担任の国語の先生の通知表のコメントに「寡黙」と書かれていたので、親は少し心配したようです。

入学当時は「中学入学組」に圧倒されましたね。はっきり言って、入学後1ヶ月くらいは居心地が悪かった記憶があります。

私の場合、入学後比較的早い段階で中学入学組の真面目な同級生と友達になれたことが学校に慣れる上で大きな要因だったように思います(この同級生と友達になった経緯はまた別の機会にでも…)。

私の通った付属校では、中学入学組で「真面目」というのは、当時の「高校入学組」以上に浮いている存在(?)だったので、浮いている者同士仲良くなったという感じです。 😀

彼とは高2まで同じクラスでしたが、入学当時から感じていた「違和感」というか「浮いている感」は、(多少ですが)最後まで残りました。

それが外部の大学受験の原動力(?)になったと思います。

なので、「違和感がある」こと自体は別に問題ではなく、成績が悪くなることと直接関係ない(むしろ違和感ゆえに成績が良くなる可能性もある)と思います。

落ちこぼれの原因(2)長期欠席か?

そんな時に、中2の前半で体調を崩すことがあって、10日ほど学校を欠席したんです。ウチの学校は、教科書を授業でほとんど使わず、先生がくださるプリントが命なんですが、授業を受けてないので、後から見ても理解できない。友達からノートを借りても、意味不明だったようで、すっかり落ちこぼれてしまったんです」

記事では「中2前半で10日ほど学校を欠席した」とあり、それが原因であったかのように読み取れますが、落ちこぼれてしまった真の原因が最も気になる部分です。

「体調を崩す」という記述から、精神面での疲労蓄積も考えられるので、兆候は以前からあったのではないかと思います。

この部分は推測する他はないのですが、「中1の段階で学校や勉強への興味が無くなってしまい、授業中も集中できずにボーッとしたり、勉強習慣もなくなってしまった。そして、時々学校も休んだりしている中で勉強がドンドン遅れていった。さらに、中2の長期欠席によって完全に落ちこぼれてしまった。」という可能性があると思います。

落ちこぼれの原因(3)プリントか?

中高一貫校では、科目(先生)によっては独自のプリントを使うケースがあります。

「プリントを使う」といっても、①あくまで教科書などの補助的なものとして使用する場合、②プリントのみで進める場合がありますが、注意すべきは②の場合です。

子供の通う学校でも②のタイプの科目が2~3科目ほどあるようですが、授業が前提のプリントなので、欠席してしまうとリカバリーが厄介ですね。

それでも、理科や社会などは単元ごとに多少手薄な部分があっても全体波及効果が小さいでしょう。例えば、中間試験が悪くても期末試験で挽回できるので、決定的に遅れることはないと思います。

しかし、数学や英語などがプリント中心だと注意が必要でしょうね。

また、数学や英語などは「検定外教科書」を使うケースが多いですが、「検定教科書」よりもリカバリーがしにくいです。

特に英語の「検定外教科書」を中心に進める中高一貫校の場合、少し注意した方がよいと思います(聞くところでは、上位校と言われる学校でも、某出版社の検定外教科書採用をやめる動きも出てきています)。

未提出レポートの山と小テストの結果が意味するもの

 

週ごとに増えていく課題の山を見て見ぬ振りをしていた亮平君であったが、ついに、中2の冬に、美穂さんは学校からお呼び出しを受けることになった。「このままでは、亮平君は併設大学進学どころか、併設高校への進学も認められません」未提出のレポートの山、そして、散々な点数の小テストの数々という“評価表”を前に、美穂さんはうなだれるしかなかったという。

「もちろん、大学が併設されているといっても希望学部に進学できる保証もないし、その大学に進学できない可能性だってあるってことは知っていました。でも、それは『よっぽど』のこと。亮平には関係ないって思っていたんです。ところが、大学どころか高校にも上がれないって言われて、驚きました⋯⋯」

未提出レポートの山と散々な小テストの数々は、『よっぽど』のことです。(苦笑)

小テストができないということは、日々の学習内容が身についていないことを意味します。この時点で、学習習慣が完全になくなっていると思います。

また、見て見ぬふりをする課題の山、そして、未提出レポートの山は、「何からやればよいかわからない」、「やる意味も分からない」状態であったことが推測されます。

こうなると、個々の科目や単元で躓いているという次元の話ではなく、勉強そのものへの意欲が完全になくなっている状態でしょうか。

私自身の経験や大学生時代の家庭教師の経験から、英語や数学などで少々躓いても、(躓いた時期や期間にもよりますが)リカバリー自体はそう大変なことではありません。

躓いている箇所さえ特定できれば、そこに戻って丁寧に学習すればよいからです。

但しこれは、本人の勉強意欲があればという話です。意欲そのものが全くない場合は非常に厄介です。

そういえば、当時私のクラス(高2)には、留年生が2人いました。
一人は付属中学出身で、中学生の終わり頃に大病をして出席日数が足りず、高1から高2に上がれず留年。その後、学力的には特に問題ないところまでリカバリー出きたので、1年遅れで(一緒に)卒業して大学に進学しました。

もう一人は、ほとんど学校に来なかったので中学入学組か高校入学組かもわからず…という状態でした。バンド活動やバイトに夢中で、学校や勉強には全く興味がないという感じでした。結局、高2の途中から全く学校に来なくなってしまい、その後どうなったかは不明です。

また、クラスの中には1~2人ほど「上の学年に上がれるか(卒業できるか)どうか」危ぶまれる生徒もいました。私のクラスでは先の1人を除くと、全員卒業できました(大学に行ったかどうかは別として)。

付属校の変容

亮平君の学校はレポート課題を大量に出すことで有名で、しかもその評価は極めてシビア。テストだけでなく課題提出も進級基準に入る。

これは、私の頃とはだいぶ状況が違っているようです。
「付属はぬるい」という批判への対応でしょうか。

大学受験用の勉強に力を入れる必要は薄いので、「自分で色々調べたり、考えたりする学習」の方へ舵を切っているのでしょう。我々親世代の学生時代の「付属校」の(緩い)イメージとは大きく変わってきている可能性があるということでしょう。

中学受験ではどのお子さんも多少無理をして勉強するので、中高一貫校に入った後は多少緩む(むしろ緩まないと潰れる可能性大)のですが、「合格までの猛勉強体制」と「入学後の緩み方」のギャップが非常に大きいのが(難関と言われる)付属校の特徴だと思います。

入学後に緩むのは当然として、ソフトランディングを意識する必要があると思います。

結局は入学してみないと分からないが…

亮平君のケースのように、学校に合うかどうかは、実際に入学してみないとわからないというのが正直なところではある。しかし大学付属校に行かせようと思っている親御さんは、実際にどのような課題を出していて、そのボリュームはどの程度のものなのかということも含め、進級・進学の本当のラインを掴んでおくことをオススメしておきたい。

結局、入学してみないと分からないですね、合うか合わないかは。

事前の情報収集も行っておくに越したことはありませんが、おのずと限界があります。同じ課題であっても、人によって「多い」と感じたり、「少ない」と感じたりするので。

ただ、こうなってしまった原因の一つに付属校への幻想というか、「もう勉強しなくてよい」と(親子ともに)思い込んでしまったことがあると思います。

付属校に入るということは、入学したから「安泰」というわけではなく、(付属校ならではの)楽しみや経験(勉強も含めて)を味わうことにある、という意識を持つことが重要なのだろうと思います。

ただ、いわゆる「深海魚」になってしまうかどうかは、入学当初の学力差などではなく、生徒個人の心の問題が大きいと思います。

順風満帆な学校生活と深海魚はまさに紙一重。我家も決して他人事ではありません。

 

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