今回取り上げる記事はこちらです。
近年、大学入試改革や私大定員厳格化をうけて、大学受験に少しでも有利になるようにと、中学受験人気が再燃しています。中学受験を考えていない小学生にとっても、効果的に学力を伸ばすための「頭の使い方」を身につけておくことは重要でしょう。学習の作法 中学受験・中学入学準備編 (小学校4年生~6年生向け)では、中学受験、そして中学入学後に一歩リードするために、「何ができるようになればいいのか」「どういう勉強をすればそれが身につくのか」を具体的に紹介しています。
中学受験をしない(あるいは、難関校を狙わない)という選択
首都圏では中学受験を目指す層が比較的多いとはいえ、日本全体から見れば中学受験は少数派です。
私自身は中学受験は経験していませんが、子供は中学受験を経験しました。
そして、中学受験に関して「諸手を挙げて賛成か?」と問われると、必ずしも自信をもって「Yes!」と答えることはできません。
具体的な勉強法
私が中学受験組以外には難関中学受験の参考書をあまり勧めない理由の一つは、収録されている知識量が多いということ。もう一つは、そもそもその知識の中には中学受験以外では活用されにくいものが多いことです。
たとえば、動植物の名前とその生態、細かい山や川の名前、あるいは数学なら簡単に解ける問題の算数独特の解き方など。もちろん、これらの知識もその分野が大好きな子なら大いに身につければいいと思いますが、趣味として楽しむ以上の効果はたいして見込めません。
一方で、進学塾が扱うような学習内容の中には、受験するしないにかかわらず、身につけてほしい知識もたくさん含まれています。特に、算数で数の性質をテーマにする問題や、理科の実験内容とグラフを検討させるような問題は新傾向の大学入試にも直結します。
算数については、難関私立を受験するのでなければ、無理に受験算数を学習する必要はないというのが私の見解です。
その一方で、数の性質をテーマにした問題で表を書く練習や、図形の移動の問題でいくつもの図を自力で作成する練習は、大学入試を見据えればぜひ早いうちからやっておいてほしいものです。
特に、進学塾の4~5年生あたりのテキストは、中学受験に必要な基礎を扱った内容が多いので、テキストや(テキストを解説した)動画などを活用するのも効果的かもしれません。
また、中学受験をしないのであれば何も全科目・全領域に取り組む必要はなく、例えば、「理科の天体と植物を勉強してみよう」とか「日本の特産品を勉強してみよう」というように、興味のある個所を部分的につまみ食いをすることも十分可能です。
英語はどうする?
まず、大学入学共通テストにおいて「4技能」(読む、書く、聞く、話す)の必須化は見送られたのですが、これは改革がまったくなされなかったということではありません。文法などの知識問題が姿を消した一方で、リスニングの配点は大幅に引き上げられてリーディングと同等になっています。おそらく、難易度も上がってくるでしょう。
さらに、文法や単語も勉強する際の目標として「英検」がよくあげられます。ただ、今の英検では3級からライティングが必須になっていて負担が重いので、「TOEIC Bridge」や「JET(ジュニアイングリッシュテスト)」、「TOEFL Primary」のほうが現実的かもしれません。
英語については何を重視するかによって力点が変わってくるので何とも言えませんが、高校受験を念頭に置くと、「中学内容の先取り」が現実的なラインとなるでしょうか。
もちろん、英語のアドバンテージを活かして(将来留学できるレベルまでの)英語力を身につけていくことも考えられますが、全体の中では少数派になるかと思います。
一方、中学受験をする場合には、6年後の大学受験が一応の目標になるので、小学校時代には長期的な取り組みをしたり、あるいは、(小学校時代は他科目に注力し)中学になってから本格的に進めるという方法も考えられます。
英語は「好きこそものの上手なれ」が最も顕著に出る科目なので、「どうすれば英語好きになるか」という点を重視して取り組むのが効果的だと思います。
無理やり取り組ませて英語嫌いにしてしまったら、元も子もありませんので。