本日は、中学受験関係の記事に関連して私見を述べさせていただきます。
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中学入学後のスマホとの付き合い方
気がついたら、和樹は指の先にスマホがくっついているのかと思うほど、四六時中、スマホを触るようになっていました。勉強ですか? 1秒もしていませんでしたね……」
小学生の時は(塾通いに際して)お子さんにキッズ携帯を持たせていたご家庭も多かったと思われます。そうしたご家庭では、私立中学入学を機にお子さんにスマホを持たせるケースが多いのではないでしょうか?
スマホを持たせるか否かはご家庭の判断によると思いますが、スマホにはメリット・デメリットがあると思います。したがって、制限なしに与えてしまうというのは危険でしょう。
大人でもスマホ依存になるくらいですから、子供の場合、(制約なしに与えてしまうと)スマホベッタリになっても不思議はありません。
スマホに関しては親子間で利用ルールを取り決めるとともに、物理的な制約をかけることも重要だと思います。
例えば
✔ スマホ本体の利用時間の制限(開始時刻と終了時刻の設定) ✔ アプリの(購入)制限 ✔ ネット閲覧の制限 ✔ 動画視聴の制限 |
…といったものが挙げられます。
「時代の流れ」というか、ますます若年層でのスマホ普及率の上昇が考えられます。
スマホの扱いについては、「これ」といった正解はないのですが、スマホの学習用アプリなども次々と出てきているので、上手に使えば学力向上に寄与することが考えられます。
いずれにせよ、「スマホベッタリ」で学業面に悪影響が出てしまうのは困りますので、親として注意が必要な部分だと思います。
深海魚になる理由
結局、和樹君は中2で「特進選抜コース」から「進学コース」に移動となり、現在は新高3直前。亜美さんいわく、和樹君は併設高校には進めたものの、成績が低迷し、浮上できなくなった“深海魚”となり、大学受験が心配される状況という。
「今さらですが、中学受験終了後の親の対応がいけなかったように思います。和樹にとっては、中学受験で第2志望の『特進選抜コース』に受かったことは『目的達成』で、これで一生、勉強から解放されると思ったんでしょう。それなのに、入ってみると、級友たちは入学前から英語学習を進めていたりして、アッという間に差がついてしまいました」
中学受験後に中学校で成績が長期にわたり低迷し、浮上できない状態を「深海魚」と言うそうです。
成績が長期間低迷する原因としては、先のスマホ依存(ゲーム依存を含む)もありますが、他にも以下のような理由が考えられます。
① 家庭環境の悪化(家庭不和など)が原因となり、勉強どころではなくなってしまう ② 入学後に友人関係等がうまく築けず、学校生活や学業に興味を失ってしまう ③ 中学受験のBurn Outで、勉強への興味や学習習慣がすっかりなくなってしまう |
他にも色々あるとは思いますが、中学生という多感な時期に、成績が低迷してしまう潜在的リスクは、実は「どのお子さんにもある」といえます。
上記の理由のうち、①は私の中学校時代の同級生の事例です。
中学2年の終わり頃は学年トップクラスの成績で、地元の最難関公立高校も確実と言える成績でしたが、その後成績は急降下し、最終的には地元の中下位レベルの公立高校に進学しました。
その同級生の当時の家庭の事情については、だいぶ後になってから聞いたのですが、「勉強どころではなかったんだろう。」と感じました。
②、③は会社の同僚から聞いた(同僚の知人の)話で、どちらも、東大合格者数トップ10常連校に進学したお子さんの事例です。
②の事例は、友人や先生との関係がうまくいかずに高校段階で中退。一時は家庭内でもDVとかがあったようですが、大検を経て地方の国立大学に進学したそうです。
③の事例は、典型的な「燃え尽き症候群」で、「中学受験が終わったらもう勉強しなくて良い」と親が子供に言い聞かせて勉強をさせていた事例です。受験終了後はすっかり勉強しなくなり、成績不振で別の高校に転校したものの、転校先の高校も中退。大学には進学せず専門学校へ行ったそうです。
なお、上記②、③の事例に関しては、教育に関して親御さんがかなり特殊な考え方を持っていたこと(≒勉強さえできれば良いという考え)、中学入学後に親子関係が非常に悪くなったという点で共通していました。
特に、③の事例では、「私立中学 → 転校 → (その先は不明)」という経路をたどった兄弟がもう一人いたということで、「何か家庭に大きな問題があるのでは…」と感じざるを得ませんでした。
一方、以下のような理由はいかがでしょうか。
④ クラスメートが(自分より)皆優秀なので、自信を失ってしまう |
自分より優秀な人間が多くいると確かに自信は打ち砕かれますが、それを早いうちに知ることはより広い世界に早く触れる良い機会でもあります。また、自信を失っても、立ち直るのにそう長い期間はかからないでしょう。
いずれにしても(①~③に比べると)④に関しては深海魚になるリスク要因としてはかなり低そうです。
チャレンジ校入学 ⇒ 深海魚なのか?
都市伝説の如く言われるのが、「持ち偏差値よりかなり上のチャレンジ校にラッキーにも合格してしまうと、深海魚になる可能性がある。」というものです。
これは先の④の理由に近いと言えます。
もちろん、誰にでも成績低迷の潜在リスクはあるので、「深海魚になる可能性がない」とまで言えませんが、チャレンジ校に合格したお子さんが他のお子さんよりも深海魚になる可能性が高い、などということは言えないと思います。
「深海魚」というのは、(何らかの理由で)勉強から相当期間遠ざかってしまうことで、学力が低下し、かつ、勉強習慣や勉強に対する意欲そのものが無くなってしまう状態と考えられます。
勉強は意欲さえあればどこからでもリカバリーできるので、スタート位置(入学時の位置)は関係ありません。逆に、スタート位置がいくら良くても、意欲がなければ(勉強しなければ)いずれ凋落していきます。
今現在の成績が思わしくなくても、諦めずにコツコツ勉強を続けることができれば(効率的な勉強なら尚可)、少なくとも学校を追い出されてしまうような成績まで落ちることはないと思うのです。
難関校で注意すべきこと
いわゆる「難関校」と言われる学校の場合、生徒を信頼して生徒の自主性に任せている(さほど手厚くない or 放任主義?)学校が多い傾向があります。
自律できるお子さんにとって、自主性に任せてもらえる方がありがたいのですが、そうでない場合には、事態がかなり深刻化するまで、事の重大さに(ご家庭が)気づかない可能性もある点に注意する必要があるかもしれません。
先の②、③の事例がまさに難関校の事例ですが、(色々な兆候があったものの)早期に手が打てなかった可能性もあると思われます。
重要なことは以下の2点だと思います。
[1] 成績不振に陥りにくい環境の整備(主に家庭環境)に配慮すること [2] 成績不振の兆候が出てきたときに「その原因を特定して早期に取り除くこと」 |
これはビジネスの世界でも同様です。
[1]は健全な職場環境(従業員のモチベーション)の醸成、[2]は売上や利益率の悪化傾向が出てきた場合、問題が深刻化しないように出来る限り早期に対策を打つことにつながります。
[1]、[2]が機能しなければ、早晩会社は立ち行かなくなります。