海外大学留学の巨大落とし穴!(3)選考基準

雑感
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引き続き「海外大学留学シリーズ」です。

海外大学留学の巨大落とし穴!学校選びを誤った人の残念すぎる末路
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今回(最終回)は「米国大学の選考基準」をとりあげます。

米国大学は「入学は易しく、卒業は難しい」のか?

 

まず初めに、「入学が易しく、卒業が難しい」ということは、一般的にもよく知られているだろう。

これは米国大学の「すべて」の状況を表しているわけではありません。

「入学が易しく、卒業が難しい」のは、①州立大学(特に中位以下の大学)などで、大学入学レベルの学力に大幅に達しない学生を政策的に入学させていること、②米国大学は(一度社会に出て大学に戻るといった形で)年齢の高い学生が多いことから、途中で学業が挫折しやすい、といった要因によるものです。

例えば、アイビー・リーグと言われる私立大学や難関州立大学の卒業率は普通に高いです。

日本とは異なる選考基準

続いて、米国の大学には「多様性を重視する考え方」がある。珍しいバックグラウンドを持つ学生は他の学生よりも優遇されるのだ。「名門大学ほど、同じ高校や地域から取るのを嫌う。入学後のディスカッションで多様な意見が出るように、国籍やバックグラウンドのバランスを考えて集める」のだと松永氏は言う。

これは、米国特有の選考基準です。
日本のように点数が高い順に入学者を決めるわけではありません

私自身、この米国特有の選考基準を知ったのは大学院(MBA)入学の出願準備をしていたときでした。

例えば、ある著名な米国大学院(MBA)にAさん、Bさん、Cさんの3人の日本人が出願したとします。

AさんとBさんは日本の一流大学を優秀な成績で卒業して大企業に入社。TOEFLやGMATといった試験の点数もほぼ同じくらいの高得点。

一方、Cさんは大企業出身ではなく、一流大学出身でもありません。大学を留年してアフリカに1年間放浪の旅に出ます。卒業後は中小企業に入社しその後独立。5年間で年商3億円ほどの会社に成長させます。そして、友人に経営を託してMBA留学を目指します。TOEFLやGMATの点数は全受験者の下から3割位の成績です。

さて、Aさん、Bさん、Cさんの中で最も合格しやすいのは誰でしょうか?

仮に、日本人2人に入学許可を与えるとしたら、Cさんは合格濃厚です。なぜなら、MBAでは多様性が非常に重視されるからです。MBAの授業において、Cさんの経験に基づく発言はクラスを活性化させると期待されるからです。

一方、似たような経歴のAさんとBさんの場合、どちらか一方しか入学が許可されない可能性が高い。なぜなら、同じような経歴の日本人は2人もいらないからです。

エッジの立った経歴や経験(アドバンテージ)があれば、出身大学や大学の成績、英語のスコアなど(ディスアドバンテージ)を十分逆転できるわけです。逆に言えば、TOEFLなどの英語のスコアがいくら良かったとしても、入学許可が得られる保証はありません。

そして、日本人に最もハードルが高い要件は、「課外活動の実績」が強く求められることだ。スピーチコンテストやディベート大会、海外ボランティアへの参加経験や、部活動での好成績など、高校生活の中でどんなことを考え、実際に行動を起こしたのか。そしてそれがどのような成果につながったかをかなり細かく見られる。

MBAの志願者のCさんのようなエッジの立った経歴や実績が積めるのは、20代後半から30代前半という(MBA志願者の一般的な)年齢水準に達しているからこそ。

まだ17~18歳の経験の浅い高校生が、他の高校生と大きく差別化できるほどの課外活動の実績を持つのはかなり難しい

優れた課外活動の実績があり、積極的に自分を売り込まないと他の志願者と差別化できません。

こうしたプロセスを楽しめる「積極性」や「チャレンジ精神」というのが、海外留学には不可欠だと思います。有名大学に留学できる髙い学力を持っていたとしても、こうした「特性」を高校生段階で持てるかどうか…。その意味でも、学部レベルで海外留学するハードルは非常に高いと思います。

また、学力だけでなく、費用面でも高いハードルがある。4年制大学の学費は私立大学で年間700万円前後、州立大学でも同300万円ほどかかる上、そこに滞在費も乗ってくる。IELTS奨学金や日本学生支援機構の海外留学支援制度、柳井正財団の海外奨学金プログラムやKiyo Sakaguchi奨学金など、返済なしの奨学金も存在するが、奨学金をもらえたとしても学費と滞在費を全てカバーできるわけではない。

米国大学の場合、学費や滞在費などの生活費も相当に高額に上ります。特に私立大学は学費が高く、都市部に位置する大学ほど滞在費(生活費)が高くなります。

奨学金をもらえるかどうかにもよりますが、4年間にどれくらいのコストがかかるのか、さらに言えば、(日本でかかる)米国留学準備のためのコストも考慮する必要があります。

結論として、有名米国大学に留学するためには、学力(英語力)と経済力に加えて、見知らぬ土地で一人でやっていける独立心、困難に負けないチャレンジ精神が必要と言えるでしょう。

 

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