日暦算を考える(1)

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中学受験の典型題の一つに「日暦算」というのがあります。
次のような問題です。

(1)ある年の7月30日は金曜日です。同じ年の12月25日は何曜日ですか。
(2)ある年の12月25日は土曜日です。同じ年の7月30日は何曜日ですか。

基本知識(常識)

日暦算を解くためには、以下のような「知識」(=常識)が必要です。
① 1週間は7日、1年は1月~12月で構成される。
② 1月,3月,5月,7月,8月,10月,12月は大の月で31日あり、4月,6月,9月,11月は30日、2月は28日または29日ある。大の月以外を小の月という。
☛ 小の月の覚え方は、「ニシムクサムライ」(2,4,6,9、11)
③ 1年は365日で、うるう年では1年は366日
④ うるう年は4年に1回訪れ、うるう年の2月は29日まである。
⑤ 「西暦で表された年が4で割り切れる年」がうるう年であるが、西暦が100で割り切れて、かつ400で割り切れない年はうるう年にならない。(西暦2000年はうるう年だが、西暦1900年や西暦2100年はうるう年でない。)
⑤は常識とは言えませんが、これを知らないと解けない問題が稀に出ます。
①~④は常識ですが、小学生の子供の場合、②~④あたり知識が抜けている(または曖昧な)ケースが結構あります。
受験算数の問題は日常の状況を扱った問題が多く出題されますが、何分経験値の少ない小学生。
大人が「常識」と考えていることを知らず、それが原因で算数の問題が解けない…などというケースもあります

日暦算の準備(その1):何日目と何日間

日暦算の準備として、以下の例題をとりあげます。

【例題1】
(1)7月7日から数えて7月30日は何日目ですか。
(2)7月7日から7月30日まで何日間ありますか。

この問題も算数というより「用語(国語)の問題」と言えます。

ここで、次のような説明がなされるケースが多いと思います。

(1)の「何日目」という場合はその日を含まず、(2)の「何日間」を求める問題ではその日を含むという違いがあります。(1)は30-7=23日目、(2)は30-7+1=24日間です。

この説明で理解できれば良いのですが、恐らく8割位のお子さんは「??」という感じになると思います。

子供が「??」となった時は、同じことを再度説明しても大体うまくいきません。視点を変えて説明する必要があります。

説明の方向として、①小さい数で説明する、②別の例で説明する、の2つが考えられます。

【例題1ー1】
(1)7月7日から数えて7月10日は何日目ですか。
(2)7月7日から7月10日まで何日間ありますか。

【例題1-1】  1 2 3 4 5 6  8 9 10

 

【例題1ー2】
(1)前から7番目のたかし君から数えて、前から10番目のえみさんは何番目ですか。
(2)前から7番目のたかし君から、前から10番目のえみさんまで何人いますか

【例題1-2】 (前) 〇〇〇〇〇〇👦〇〇👧 (後)
👦 たかし君   👧 えみさん

数値を小さくしたり、今までやったことのある馴染みのある例などに置き換えると、結構理解が進むものです。

恐らく、「??」となったお子さんの多くは、「〇番目」という考え(ひいては「植木算」や「数列」の基礎になる)にあまり慣れていないと考えられるので、徐々に考え方に慣れさせていくことが重要だと思います。

日暦算の準備(その2):7で割った「商」への注目

【例題2】
(1)7月1日は木曜日ですが、7月に木曜日となる日をすべて挙げなさい。
(2)7月4日は日曜日ですが、7月に日曜日になる日をすべて挙げなさい
(3)(1)と(2)で求めた日にちをそれぞれ7で割ると、商はどのようになりますか。

上記の例題は、日暦算で出てくる、「○○÷7=□あまり△」の式を理解するための準備です。

○○÷7=□あまり△」」の式で計算される「商」(=□)には大した意味はないのですが、まずは「商」に注目した方が式の意味が分かり易いと思います。

(1)(2)では、7日ごとに同じ曜日が現れることを確認します。実際にカレンダーで確認すると、より理解が深まると思います。

(3)は「7で割る意味」を理解させる問題です。例えば(1)で計算した、1,8,15,22,29を7で割ると、商は1ずつ増えていくことが分かります。一方、あまりはすべて1で、あまり1が木曜日に対応していることを理解させます。

日暦算の準備(その3):あまりと曜日の関係

【例題3】
(1)2021年7月25日(日)から31日(土)の1週間について、日にちを7で割ったときの商とあまり求めなさい。
(2)(1)で求めた「あまり」と曜日の関係を表で示しなさい。カレンダーを見ても良い。

日暦算で出てくる、「○○÷7=□あまり△」の式を理解するための最終準備です。

(1)では、商は25日~27日の商は3,28日~31日の商は4であり、7月1日を初日とすると7月28日までで4週間(4周期)になることが理解できます。

7月25日~7月31日(1週間の)の日にちを7で割り、あまりと曜日と対応させると、以下の表のようになります。

日にち 25日 26日 27日 28日 29日 30日 31日
7で割ったあまり
曜日

子供が興味を持ったら、それ以上教えない

さて、上記のような説明をしてお子さんがカレンダーに興味を持てば大成功です。

自主的に夏休み期間中の自作のカレンダーを作ったり、1年後の自分の誕生日が何曜日なのかを調べたりするかもしれません。子供はこういうことが基本大好きですから。

こういう状況になったら、親はこれ以上教えたり、口を挟まない方が良いです。勉強に関係ない一見無駄なことをしているように見えますが、(受験が迫っている6年生以外は)子供の好きにさせた方が長期的にはプラスの効果を生むように思います。

日暦算を教えるのは、別に明日以降でも良いわけですから。

ということで、次回に続きます。

 

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