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難関大学合格が目的なら6年間塾が合理的
端的に言います。“いい大学”に行くことを目的にするならば、もっとも効率のいい選択は、中学にも高校にも行かないことです。学校に行かない代わりに、小学校を卒業した春休みからすぐに東大・医学部受験専門塾に通い、そこで与えられる勉強を6年間徹底的にやりこめば、かなりの確率で東大や医学部などのいわゆる最難関大学に合格できるでしょう。塾に通って家でその宿題をやるだけの生活に6年間耐えられればですけれど。そう考えると、大学進学実績で学校を選ぶことがいかにナンセンスかがわかるのではないでしょうか。
極論ではありますが、確かにその通りですね。
中高一貫校は確かに大学入試には有利ですが、それだけを目的とするのであれば行く必要はない。
中高一貫校に通う意味を見出さなければならないということだと思います。
ではなぜそのような学校から毎年たくさんの最難関大学合格者が出るのか。にべもないことを言うならば、12歳の時点で学業優秀な生徒を集めることに成功しているからです。そのことを裏付ける言葉があります。「7年現象」という言葉です。ある学校が東大にたくさんの合格者を出すと、その翌年の中学入試では「わが子を東大に入れたい」と思うご家庭の子どもたちがその学校に殺到し、倍率が高まり、入試難易度を表す偏差値が上昇し、実際に優秀な生徒たちが入学し、彼らが卒業する6年後の東大合格者数が増え、またその翌年の中学入試での偏差値が上昇する傾向が見られるのです。やっている教育は変わらないのに、です。
東大をはじめとする難関大学に「毎年かなりの合格者を出す名門校」か、「数年に1人~2人の割合で難関大学の合格者を出す学校」を比べると、雰囲気面・環境面でやはり前者が有利となりますね。
前者の学校であれば、学内にもライバルは沢山いますし、彼ら(彼女ら)と日常的に接したり観察したりする中で、自分と志望大学(難関大学)との距離感もつかめてくる。
一方、後者の学校の場合は、そもそも難関大学を受ける雰囲気が醸成されていない可能性が高く、学内にいても自分と難関大学との距離感がつかめない。結果、塾(予備校)に通うなり模試を受けるなりして、難関大学を狙う雰囲気や自分の立ち位置確認の場を確保する必要がある。
極論すれば、これだけの差に過ぎません。
なので、(難関大学の)進学実績にそこまで大きな差がない学校の場合、学校の(受験に対する)雰囲気や環境面に決定的な差はないので、記事にも記載されている通り、大学入試面の有利・不利はないと思います。
そのことから逆にいえば、仮に中学受験の結果、紙一重で最難関中学に合格できなくても、もともと東大合格のポテンシャルのある子どもなら、どんな学校に通うことになろうとその環境を存分にいかせれば、6年後には東大に合格できる可能性はほとんど変わらないはずです。
中学受験は学校がもつ文化を継承する
では何のためにわざわざ中学受験するのか。それは、各学校がもつ文化を継承するためです。私立の学校にはことごとく建学の精神および教育理念があります。時代を経ても変わらない「人としてどうあるべきか」を説く教えです。「何ができるようになるか」ではなく「どういう人になるべきか」、つまり「To do」より「To be」を示しています。人としての生き方です。
生き方は、知識ではなく態度なので、言葉で教え込むことができません。その生き方を実践する文化をもつ集団の中に身を置いて、少しずつ体に染み込むものです。
「学校の文化」の承継という面は確かにありますね。
学校も会社と同じように「組織」なので、広い意味では組織文化と呼べるかもしれませんね。
会社で、朝礼などで「経営理念」や「社是」を毎日唱えても、従業員にはほとんど響かないのと同様に、「学校の文化」も先生・先輩・後輩・同級生といった集団の中で体感していくことになります。いわゆる暗黙知の領域になります。
そこに6年間いるだけで、独特の風味が加わります。もちろん同じ学校の卒業生がみんな同じような生き方をするわけではありませんが、俗に「開成らしさ」とか「桜蔭らしさ」というような「におい」があるといわれるのはこういう理由です。この「におい」を求めて中学受験はするものなのです。
その学校の文化から何を感じ何を学び取るのかには個人差があります。
一口に「学校の文化」といっても、学年、クラス、属している小集団(部活等を含む)のサブカルチャーも大きく影響してきますし、受容者側の個々の生徒の状況(家庭環境、個人の知識や体験、感受性など)にも違いがあります。
「学校の文化」(≒校風)に何を求めるのかはご家庭にもよりますし、(文化として)何が身につくのかも実は未知数ではあります。
そうした「期待感」を含めて、中高一貫校選びや中高一貫校での生活を楽しむというスタンスが大切なのだと思いました。