「くり返し問題を解いてきた受験生」ほど、入学後の成績が伸びない意外なワケ

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「中学に入ってから伸びにくい」中高一貫校生の特徴

と、ここまで中学入試問題が単なる暗記で対応できるものではないことを訴えてきましたが、一方である私立中高一貫校の校長は、「パターン学習では対応できないような問題を毎年考えて出題するのですが、それもすぐに解法が編み出されてパターン学習にされてしまう……」と嘆いていました。

出題者がいかに思考力を問う問題を出しても、結局中学受験塾がその解法をパターン化してしまうということです。

中学受験で(あるいは大学受験でも?)しばしば話題になるパターン学習

「暗記数学(算数)」とか「解法暗記」などと言われることもあります。

「数学(算数)は暗記だ」とか、「算数(数学)はじっくり考える勉強をしないと意味はない」などと両極端のことが言われてます。

実際のところどうなのでしょうか?

私は、両方とも正しいことを言っていると思います。

まず、「自然数」、「素数」、「約数」、「倍数」…などの定義は覚えていないと話になりません。

一方、「三角形の内角の和は180°」とか「三角形の合同条件」などはどうでしょうか。

なぜそうなるのかは一度しっかり理解しておく必要がありますが、問題を解くたびに一々ゼロベースから考えていたらいくら時間があっても足りません。問題を解く際には既知の事実として使っていくことになると思います。

このあたりまでは、「理解派」も「暗記の必要性」も差はないと思います。

次は「入試典型問題」(あるいはその一歩手前あたりの問題)です。「入試典型題」と言っても人によって対象となる問題の幅が違うので一概に決められないので、ここでは予習シリーズの「例題」を念頭に考えます。

予習シリーズの「例題」レベルの問題は、単に解けるだけでは不十分で、最終的にはスラスラ解けるようになる必要があると思います。

ただ、そこに至るプロセスや考え方に個人差があるように思います。

もっとも極端なのは、例題を見たらすぐに答えを見て「解き方を覚える」というやり方です。確かに時間効率が高く、正しいやり方を身につけることができるのですが、(まだ幼い小学生の場合には)解説をじっくり読んだり自分で考えたりする習慣が十分育っていないため、理解が表面的になったり、式だけ覚えるような勉強になってしまう危険性があります。

もう一方の極端な方法として、分かるまで徹底的に自力で考えるというやり方があります。とにかく納得いくまで考え、それでもわからなければ解答・解説を読むという方法です。自力で考える・粘るという習慣が身につくこと、かつ、問題が解けた時の喜びを感じ、また、出来なかったときに解説を読んだ時の理解度が深まるというメリットがあります。

しかし一方で、(そのペースでは)塾の課題量をこなせない、(知識量が不十分な小学生の場合)「下手な考え休むに似たり」という状況になりがち、自己流(効率の悪い解き方)の癖がついてしまうといった懸念もあります。

ということで、上記2つの極端な例の「間のどこか」に現実的な取り組みがあるということではないかと思います。

どちらにより近いかによって、「暗記重視派」と「理解重視派」に分かれるように思います。

パターンを頭にたたき込み、似たような問題をくり返し数多く解いた受験生が高得点をとるというルールになってしまっているのが現実であることは否めません。その部分だけを見た人が「中学受験勉強は無味乾燥な知識の詰め込みである」と言っているのでしょう。

でもやっぱり、「そういうパターン学習に慣れてしまった子どもは中学に入ってから伸びにくい」と中高一貫校の先生たちは口をそろえます。

そこはジレンマです。効率良くパターン学習したほうが得点はとりやすく、志望校合格に近づきやすい。でも、長い目で見たら子どものためにならない……。

個人的には、予習シリーズの「例題」レベルの問題は、本質を理解した上で、素早く解けるように習熟しておく必要があると思います。

制限時間のある入試で合格点をとらなければならない以上、パターン認識力を高めておく必要があると思います。入試を戦う上での「解法ストック」を頭の中に蓄積しておくことは重要だと思います。

一方、(6年生の後半で取り組むような)入試問題(応用問題)については、こうした解法ストックを駆使して、自力で徹底的に考えてみることが大切だと思うのです。ここはパターン学習ではなく、納得いくまで考えることが必要だと思うのです。

しかし、中学受験ではこなさなければならない量が年々多くなり、かつ、出題範囲もどんどん広がっています。

こうした問題に「効率的に対応」するためには、先の予習シリーズの例題と同じように、解き方(しかも制限時間内で解ける解き方)を教えて、徹底的に繰り返して「解法パターン」で対応できるようにするという流れが強まっているように思います。

言い換えると、(パターン学習で解く)「入試典型題」の範囲がドンドン広がっているという印象があります。

大学受験レベルだとさすがに違うと思いますが、中学入試レベルだと「結局、パターン化しようと思えばできてしまう」ということで、「パターン化した方が(入試で)点数が取れる」いうことかもしれません。

なかなか悩ましい所です。

 

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