名門ハーバード大学の白人生徒の43%が“特別枠”で入学していた

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元の「ガーディアン」(英国)の記事はこちら ↓

Turns out, Harvard students aren’t that smart after all | Tayo Bero
A whopping 43% of white students weren’t admitted on merit. One might call it affirmative action for the rich and privil...

米国大学の入学システム

ハーバード大学は「そんなに賢い生徒ばかりの大学ではない」。英紙「ガーディアン」は11月17日、そんなオピニオン記事を掲載した。
理由は、「ハーバード大学に在籍する白人生徒の、じつに43%が『特別枠』で入学しているから」だ。
この「特別枠」を使った入学方法は大きく4つある。
大学側からスカウトされた「アスリートの枠」、近親者に卒業生がいる「レガシー枠」学部長の「推薦リスト枠」(主に親がお金持ちか有名人、またはその両方である場合で、多大な寄付金を贈与した人に与えられる枠)、そして、大学に在籍する「教職員の子供枠」だ。
要するに、日本で言うところの「コネ」や「裏口」入学だが、アメリカでは、特に違法行為としては認識されていない。ただ、“別の方法を使って入学したまで”である。

日本の大学も以前から「スポーツ推薦」の制度はありましたが、これを別にすると、恐らく20年位前までは「一般入試」枠が大半だったと思います。

現在では、私立大学のAO入試をはじめ、国公立大学にも学校推薦枠があったりします。

ということで、「一般入試」は比率としても、かつ、(定員厳格化や少子化等の影響で)絶対数としても)大きく減っているように思われます。

一方、アメリカに目を転じると、入学制度自体が日本とはかなり異なっています。例えば、大学として多額の寄付金が期待できる(裕福な白人の)子息を優先的に入学させる制度(記事中のレガシー枠や推薦枠制度など)は以前からありました。

This kind of systemic favoritism of the white, wealthy and connected is not new when it comes to elite academic institutions. It’s always been a bit of a rigged game, one that overwhelmingly favors rich white people.

寄付金を払えば大学に優先的に入学できるというと、日本人からすると「公平に反する」とか「裏口入学ではないか」と思われるでしょう。

しかし、少なくとも米国での受け止め方はかなり違います。もちろんこうした(不公平な)制度に疑問を投げかける人達もいますが、社会的には受け入れられています。

寄付金は大学に入ってくるので、①他の学生もその恩恵を受けられること、②入学させるか否かについては依然として大学側の裁量余地があること、というのがその理由だと思われます。

米国における不正入試スキャンダル

そんなアメリカでも、一昨年、大学入学をめぐるスキャンダルが発覚すると世論の猛反発が起きました。

こちらは、自分の子供を有名大学に入学させるために、外部業者に多額の賄賂を払って、スポーツ選手としての実績を偽装したり、あるいはSATなどを身代わり受験させるなどの不正行為であり、特にセレブや要人たちがこのような不正行為で自分たちの子供を大学に入学させようとしてたことが発覚したことで、大きな批判を浴びたり罪に問われたりしました。

日本人からすると、「お金を払って合格させようとするのだから(どちらも同じ)不正ではないか」と思ったりもするのですが、「事実を捻じ曲げる偽装が行われたこと」、「外部業者にだけお金が流れ、大学には資金が還流しないこと(他の学生には何のメリットがないこと)」という違いがあります。

この点で、レガシー枠や推薦枠などは正義の範囲内(=適法)、身代わり受験や各種実績の偽装は許されないこと(=違法)、という解釈のようです。

この辺りについては、実力も運のうち 能力主義は正義か?に詳しく書かれています。

日本人の米国留学

This dynamic is inherently racialized, with almost 70% of all legacy applicants at Harvard being white. According to the study, a white person’s chances of being admitted increased seven times if they had family who donated to Harvard. Meanwhile in stark contrast, African American, Asian American and Hispanic students make up less than 16% of ALDC students.

こうした「優先枠」で入学した生徒の7割が白人。
一方、アフリカ系、アジア系、ヒスパニック系は16%未満となっており、白人優先の構図が浮かび上がります。これは何も大学だけでなく、何年かアメリカに住んでみれば肌で感じる構図です。

そして日本に住む日本人高校生。当然、Asian Americansにも属さないので、優先枠などはありません。

米国名門大学でも大学によって日本人の枠が多少あるかもしれませんが、恐らくアジア人枠の一部だったりすると思います。となると、優秀なアジア人学生たちとの間での戦いになります。

(ちなみに、入学段階で白人の優秀な学生と同じ土俵で戦うことはありません。これはMBA受験でもまったく同じことが言えます。)

①学校の成績を上げる(高いGPA)、②テストで良い点をとる(TOEFLやSATの高得点)、③課外活動等の実績で自己の優秀さをアピールしなければなりません。

これは、わずか17~18歳の高校生には相当大変なことです。ここが社会人の留学(大学院留学)とは大きく違うところです。

社会人になってからの留学の場合、一般的に「高校生+10年+α年」位の人生経験はあるので、仕事の実績を含めて追加的なアピールポイントを見つけることができます。また、(英語のスコアメイキング等に要する)準備期間も比較的自由に設定できます

アピールポイントという点では、「俺(私)のような人間を入学させないと後悔しますよ」、とか、「俺(私)のユニークな実績や経験によってクラスの議論が活性化しますよ」というように(他の人にはない)自分の強みを積極的に売り込むことで、大学側に「こいつを入学させると面白そうだな」と思わせることができれば、合格はぐっと近づきます。

私自身、英語の勉強(TOEFLやGMAT)を含めて「どうやって自分を売り込んでやろうか」と戦略を練りながら出願準備をしていました。(大学院の)受験勉強をするというより、就職試験や就職面接に臨むというスタンスに近いものでした。

なので、(自分を売り込むという)絶好の機会を、他人(MBA留学予備校などの業者)に任せることなどまったく考えもしませんでした。

ただ、こうした準備ができたのは、①自分自身が既に社会人経験を積んでいたこと、②大学院留学がマストではなかったこと(=留学時期が多少伸びても、あるいは最悪大学院留学できなくても、いくらでも別の道があったこと)が挙げられます。

しかし、高校生には社会人経験はありませんし、交渉や準備を楽しむ余裕や「したたかさ」もありません。あるいは米国大学に正規留学しようとすれば、留学時期を先に延ばすというオプションも現実的にはとりにくいでしょう。

結局、(英語のスコアや学校の成績といった)限られた要素の中だけで自分を差別化しなければなりません。

したがって、留学経験者である私から見ても、日本人高校生が米国名門大学に留学するというのは、非常にハードルが高いように思うのです。もちろん、ハードルの高さは準備段階で求められる英語力や学校の成績などもありますが、それ以上に(現地で学生生活を送れるだけの)したたかさや精神面の強さが求められると思うからです。

点数だけで決まる日本の大学入試(一般枠)には批判もありますが、非常に公平でかつ分かりやすいものです。しかも、勉強する事項(科目や範囲)も決まっているので準備もしやすい。

普通の日本人高校生にとっては、遥かに戦い易いと思うのです。

 

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