本日の記事はこちら ↓
つまり「開成=71」「桜蔭=71」のような偏差値は、入試の難易度を示しているにすぎません。平たく言えば「どれだけ入るのが難しいか」。たとえてみるならばラーメン店の行列のようなものです。
確かに「行列があると並びたくなる」という心理はありますね。
偏差値が高い学校というのは、進学実績が高かったり、有名大学の付属校であったり、あるいは教育内容が充実していたり…と色々な理由があるのでしょう。
ただ、その学校が自分の子供に合うかどうかは入ってみないと分からない。
なので、偏差値も一つの重要な基準ではあるのですが、偏差値だけに注目するのではなく、幅広い視点から学校選びをすることが大切だと思います。
さらに昨今は、一部の学校による悪質な偏差値操作が行われているらしいことが、業界では周知の事実となっています。
(中略)
たとえば2回目の入試を「特進入試」などと名づけて合格人数を極端に絞ります。そこで意図的に、たとえば偏差値60以上相当の学力をもっていると思われる受験生のみに合格を出せば、その学校のその入試回の偏差値は確実に60以上になります。
驚くのはここからです。その2回目入試で不合格を出した受験生たちに対し、何度受けても受験料は一律という制度を用意して、3回目入試、4回目入試を受けるように誘導します。そこで合格を出し、入学者数を確保するのです。
学校も様々な工夫をして生徒を集めなければならない。複数回の受験日を設定したり、特待生入試枠を設けたりするのも「学校経営の必要性」という動機から生まれている可能性も高く、必ずしも「悪質」という一言で片づけることはできないと思うのです。
ただ、数回の受験日を設定して募集人員を分割したり、特待生枠を設けたりすることで、偏差値が歪められる危険性というのは確かにあるでしょう。
さらに、中学受験界は偏差値至上主義にかなり毒されているため、過剰に反応してしまう。
中学入試はそもそも偏差値で決まるわけではなく、その学校の「入学試験を受けた志願者の上位」から選ばれます。
この点、各回の募集人員(=合格者数)が少ない学校の場合には、合格ラインが母集団との関係で(受験年度や募集回によって)大きくブレる可能性があります。
したがって、入試回数が1回だけの学校に比べるとかなり読みにくい。
極端な例ですが、各回10人に合格者を絞った学校の場合、100人応募があれば90人の生徒は不合格となりますが、11人の応募であれば1人しか不合格になりません。
いずれにしても、「偏差値」はほとんど意味を持たないということです。
こうした(各回で募集人員が細分化されている)学校を志望校にする場合の注意点は2つあります。
一つは(合格者が点数上位者から決まるという性格が色濃く出るので)入試問題との相性がより重要になる傾向があるということです。
もう一つは、合格ラインの読みが難しく不確実性が高くなるので、併願戦略がより重要になります。