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2016年から「ママカフェ」を主宰し、これまで1万人を超える母親たちの相談ごとに耳を傾けてきた教育専門家の石田勝紀さん(53)は言う。
「世の中には多様な学び方、さまざまな生き方があることはみなさんわかっていて、学歴に対するこだわりもひと昔前ほどではない、と感じます。ただ、『子どもの個性を尊重したい』と口にするものの、頭の中には依然、消すことのできない学歴意識が残っている。40代から50代にかけては、とくにそれが顕著だと思います」
いまの40代は、昭和的な価値観を持つ親たちに育てられた世代だ。当時は、多様なキャリアプランを描くことができず、職業選択の幅も広くはなかった。
頭ではわかっていても、なかなか難しい。今まで刷り込まれてきた価値観はそう簡単に変わるものではありません。
また、日本が低成長時代に入っていることもあり、なかなか将来に明るい展望が見いだせない。
確かに、現在では多様なキャリアプランを描くことはできますが、(子供が成人する頃の)10年後、20年後、30年後にどのような職業が登場しているか、そもそも良く分からない。
となると、汎用的でわかりやすい「学歴」という方向性に向かうのもある意味当然なのかもしれません。
実際、首都圏の私立・国立中学校受験生は、15年から年々増加の一途をたどる。親たちは自らスマホなどで情報収集ができるようになり、ニュースサイトで「中学受験者数が過去最多を記録」「小1から塾が満席」といった文字を連日のように目にする。そこに、周囲からの同調圧力が加わる。「これはやらなければいけないことなのではないか」と感じるようになる親たちが多いのだという。
「学歴」という汎用的な方向に世の中が向かい始めると、同時に同調圧力も加わります。
「みんな違って、みんないい」ではなく、「みんなで渡れば怖くない」という価値観が支配的になる。
自分の価値観は、過去の経験等と密接につながりがあるわけなので、そう簡単には変わりません。
自分以外の人たちが何を重視しているのか、どのような経験をしているのかを理解し、自分の中に取り入れていくといったプロセスがないと、価値観を変えることは難しいと思います。
「自分の枠を飛び超えて、新たな世界に入ってみる」ことで、今まで気づかなかった価値観や方向性に気付くことも多々あると思います。
子供達は学校生活を通じて、親たちは社会生活を通じて、様々な集団(グループ)と交流しながら多様な意見に触れ、これらを尊重することによって、価値観をアップデートしていく必要があるのかもしれません。