【プラスワン問題集 番外編】一行題の重要性と言語化

高学年向け
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過去2回にわたって「算数プラスワン問題集」を取り上げましたが、今回は関連するテーマとして「一行題」の重要性を取り上げます。

4~5年生で扱う一行題は易し目

算数プラスワン問題集はいわゆる「一行題」問題集。問われているポイント(論点)を1つに絞った(問題構造が)シンプルな問題です。

例えば、塾で行われる算数のテストでは、大問1が計算問題、大問2と大問3あたりに小問集合(一行題)が並び、大問4以降が総合問題(概ね易 → 難の順)という構成が多いと思います。
主に、塾の組分けテストなどの前半で扱われる一行題は、どちらかというと易し目の問題が多いです。なぜなら、この部分を難しくしてしまうと、テストの平均点が相当下がってしまうからです。
しかも、(4~5年生の間は)学習した内容がテキストに掲載されている問題の類題だったり、あるいは、決まった範囲(直近に学習した範囲)から出題されたりするため(短期記憶で対応できてしまい)、深い理解や十分に習熟をしていなくても、正解してしまうケースもある。
なお、4~5年生で難し目の一行題が出題されるのは、例えば四谷大塚のSコースやCコースの週テストくらいだと思います。

意外に軽視されがちな一行題

前述のごとく、(4~5年生の)テストに出題される一行題の難度は低いので差がつかず、一方、テスト後半に出てくる(難し目の)総合問題に正解しないと、得点(偏差値)が伸びないので、どうしても総合問題の演習の方に力を入れる
そうした事情もあり、一行題は意外に軽視される傾向もあります。

単に忘れているだけなら問題ないが…

塾の小4~小5の間は、基本的に単元学習の時期で、毎週新しいテーマが扱われます。
塾の単元学習の際にはしっかり理解したつもりが、しばらく放置していると忘れてしまう。
よくあること(自然なこと)です。
塾のカリキュラムでは「総合回」などの名目で、復習に充てるカリキュラムが組まれています。それでも(総合回が終わって)しばらく放置すると忘れてしまう。
もちろん、忘れないように(塾のカリキュラムとは別に)ご家庭で復習を重ねることで忘れないようにできるのですが、単元学習を進めている段階では、(毎週新しいテーマが出てくるので)まずは新出単元への対応に注力することが優先事項となります。
単元学習の際、基本事項についてしっかり理解できていれば、忘れてしまっても(思い出すのに)それほど時間はかかりません

点検/復習用としてのプラスワン問題集

「算数プラスワン問題集」は、忘れている解法を思い出す目的では利用できますが、最初から理解し直すには不向きな教材です。あくまで、点検用の教材です。
解法をすっかり忘れていて短時間で思い出せないような場合には、塾テキストに戻って復習する必要があると思います。
繰り返しになりますが、理解不十分な単元が多い場合、「算数プラスワン問題集」ではなく、今まで使ってきた塾の教材に立ち戻るのが得策だと思います。

解法パーツとしての一行題

実際の中学入試では、塾のテストのように範囲指定がありません。
その場で問題を見て「何の問題か」を把握して、迅速に解答する必要があります。

つまり、典型的な一行題については、すらすら解けるまで定着していないと入試本番では御覚束ない。

さらに、入試問題において合否のカギとなる「総合問題」は、一行題というパーツを組み合わせたものになっているケースがかなりあります。

しかも、① 必要なパーツがどんどん増えていたり、② パーツ自体が高度化していたり、あるいは、③ 一目では解きほぐせないようにパーツが組み合わさっていたりしています。

つまり、「一行題」は単に解ければよいというだけでなく、深い理解に基づきすらすら解ける状態(=使いこなせる状態)にもっていく必要がある。そうでないと、(とりわけ難関校の)入試問題(総合問題)には太刀打ちできない。

理解した問題の「言語化」を

以上の理由から、本格的な入試過去問演習に入る前に、(解法の)基本パーツに習熟して使いこなせるようにしておくのが望ましいです。
6年生は今頃の時期から総復習に入ると思うので、(できれば秋口までに)一行題がすらすら解けるようになることを目標にしたい。
そのために、問題を解いて丸付けをするだけではなく、解けた問題(=理解した問題)については、「言語化」を意識することが大事だと思うのです。
「言語化」とは、「要するにこういう問題だ」、とか、「こう考えれば解ける」というように、問題の本質や解法を、自分の言葉で表現することです。
この「言語化」は、小4~小5段階ではかなり難しいのですが、小6になったらぜひとも取り入れて欲しい訓練の一つです。
最初は易し目の問題(一行題)から、慣れてきたら徐々に難しい問題や入試レベル問題まで。
「言語化」は、「解き方(解答手順)を説明する」ということと似た意味ですが、理解が進むと(解答手順)より抽象的かつ本質的な言葉で説明できるようになります。
その段階に到達すれば(慣れるまでなかなか難しいですが)、完全にマスターしたと言えると思います。

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