高校でも必修化された「探究」、なぜ注目? 探究学習の第一人者が説く「逆算」の学びとの違い〈dot.〉

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もう一つ、ちょっと視点を変えて、「探究的な学び」がいま必要な理由をお話ししていきます。

世の中の学びの全てが予備校化している、というお話です。

まず大学というのは「就活の予備校」として機能しています。どんな大学に入ったらどんなところに就職できるのか、理想の就職をするためにはどんな大学に行けばいいのか、というふうに、ですね。

そして理想の大学に行くためにはどんな高校に入ったらいいのか、というように高校は大学の予備校になっている。そして理想の高校に行くためにはどんな中学に行けばいいのか。中高一貫という選択もありますよね。そのために塾に行って、中学受験をしようかな、と考える人もいて、その場合は塾が中学の予備校になっています。

そういえば、ビジネススクール(MBA)などはまさに就職(転職)予備校ですね。

「予備校」というと、高校を卒業した浪人生が大学受験のために通う「予備校」や資格取得のために通う「予備校」などが思い当たりますが、これらは明確な目的のために短期的に利用するという性格が濃いと思います。

MBAにしても米国の場合は2年(欧州では主に1年)の期間限定なので、やはり短期間の利用という側面が強いわけです。

ところが、現在では「ゲーム理論」の「後ろ向き帰納法」(Backward Induction)のような感じで、ゴールから遡って最適解を目指すという風潮が強くなってきているように思われます。

 

実は現代の我々は、今を楽しむことよりも、「あとで困らないための準備」を優先する「保険的で逆算的な生き方」がスタンダードになっているんですね。

でも実際は、最初にお話ししたように、技術の進歩により社会の価値観は確実に変わりつつありますし、また予測不可能なことがたくさん起こるわけです。

そういった「逆算的な学び方」は他にも問題があって、学んでいる本人が楽しくない、ワクワクしない、と思っている場合が多い。

(中略)

「探究的な学び」というのは、いま、目の前にあることに集中して考える学びでもあるんです。「いま」にフォーカスして、受験を含めた全ての経験を「成長のプロセス」として捉え直す。ここが「逆算的な学び」と大きく違うところです。

「後ろ向き帰納法」は、明確なゴールが決まっていて、ゴールから遡って(=逆算して)、最適な行動(意思決定)の順序を決定するという考え方です。

「後ろ向き帰納法」が完全に成立するのは、ゲーム理論で言うと完全情報ゲームの場合に限られます。つまり、ゴールに至るまでのすべての意思決定ポイントにおいて、それまでの行動や実現した結果がすべて与えられているケースです。

しかし、現実問題として、将来はそれほど正確に予測できるものではなく、予想外のことが沢山起こります。

なので、ゴールから逆算するという考え方は(短期的には成立しても)長期になればなるほど不確実性が高くなることから、うまく機能しなくなります。

例えば、「大学合格のために、1年浪人して予備校に通う」ことと、「大学合格を目指して低学年から塾通いする」のどちらが不確実性(=結果の振れ幅)が大きいかは明らかだと思います。

もちろん早い段階から準備を進めることは、望ましい結果を生むうえでは大切な要素です。
(高校時代まったく勉強せずに1年間浪人した場合、大学受験で苦戦する可能性が大きい。)

ただ、あまりにも早い段階で最適ルートを決めてしまい、そこに向かって突き進むことは、(予見した将来から逆算して、決められたルートを進んでいるともいえるので)「楽しくない、ワクワクしない」感覚になるのも頷けます。

将来何が起こるか分からないから人生は「楽しい」と思います。

逆算的思考が強まりつつある昨今ですが、若い間はあまり遠い将来のことは考えずに、「目の前にあること」に集中した方が楽しいと感じました。

 

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