新中学生向けの数学学習のヒント(分配法則を中心に)

学習のヒント
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久々に時間に余裕ができたので、2024年の中学入試算数の問題を見てみました。

今回は、小学生向けの中学受験算数としてではなく、中学生の数学の視点から見てみたいと思います。

 

今回取り上げるのは(1)と(3)ですが、問題に入る前に小学生で習う以下の3つの計算法則を確認しておきます。

❶ 交換法則
 (例) 4+7 = 7 + 4 =11,4 ✕ 7 = 7 × 4 =28
※ 引き算や割り算では成立しません
❷ 結合法則
 (例)( 3 +5 )+ 2 = 3 +(5 +2),(3 × 5)× 2 = 3 ×(5 ×2)
※ 引き算や割り算では成立しません。
❸ 分配法則
(例)(3 + 4)×  5 = 3 × 5 +4 × 5 = 35
4 × 7 + 6 × 7=(4 + 6)× 7 = 70

 

では、(3)の解答です。

236 = 59 × 4,29.5 =59 ✕ 0.5 なので

59 ✕ 20.8 - 236 ✕ 0.7+ 4 × 29.5
=59 × 20.8 -(59 × 4) × 0.7 + 4 ×(59 × 0.5

(結合法則・交換法則により)
59 × 20.8 - 59 ×(4 × 0.7)+ 4 × 0.5 × 59
(分配法則により)

=59 × (20.8 - (4 × 0.7)+ 4 × 0.5)
=59 × (20.8 - 2.8 +2)
=59 × 20
1180

上記の3つの計算法則が使われています。

確かに、(手練れの)中学受験生であれば、理屈など抜きにしてもっと少ない筆記量で素早く計算できる練習を重ねていると思います。

しかし、中学数学で文字式が出てきて抽象的になると、ややもすると混乱したりするので注意が必要です。特に、分配法則が重要と思います。

 

次は(1)です。

$$1.25 \div 4 \times 5 \frac{1}{3} + 3.18 \div 9$$

$$( 1.25 = \frac{5}{4} より)$$

$$=\frac{5}{4} \times \frac{1}{4} \times \frac{16}{3} + 3.18 \div 9$$

$$=\frac{5}{3} + 3.18 \times \frac{1}{9}$$

$$=\frac{5}{3} + (3 + \frac{9}{50})\times \frac{1}{9}$$

(分配法則 ※ より)

$$=\frac{5}{3} + \frac{3}{9} +\frac{1}{50}$$

$$= ( \frac{5}{3} + \frac{1}{3} ) +\frac{1}{50}$$

$$ = 2 + \frac{1}{50} =2\frac{1}{50} ( = 2.02)$$

※「a(=3) +b(=9/50)× c(=1/9)=a ✕ c + b ✕ c」という形で分配法則を使っている点がポイントです。

多くの中高一貫校で採用される数研出版の「体系数学1 代数編」では、第1章 第4節(四則の混じった計算)、第2章 第2節(多項式の計算)あたりで取り扱われている「分配法則」をしっかり理解しておく必要があると思います。