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東京都教育委員会公表の令和3年度公立学校統計調査報告書を例に、①東京都内の23区の間で中学受験率に差があること、②東京都の中心部(区部)と郊外(市町村部)でも差が生じていること、を指摘しています。
中学受験を突破するには自力では難しく、進学塾は欠かせない存在。進学塾が多く集積する都市部が、やはり中学受験では優位といえます。また進学塾のなかでも校舎によって進学率にバラつきがあり、それによっても進学率に格差が生じてきそうです。
確かに中学受験において受験塾の果たす役割は大きいですね。
また、居住地の近くに私立(国立)中学がなければ、いくら学力が高くても(通えないので)公立中学に進学する他はないということもあるでしょう。特に、国立中学は通学時間の条件(=片道1時間以内の通学条件や通学エリア指定)で通えない地域が存在します。
居住地を(中学受験や子供の教育ニーズにあわせて)自由に変えられる人は良いでしょうが、地元で商売をしていたり、地元の役所や地元企業に勤めていたりすると、そう簡単に居住地を変えられません。あるいは、老親がいたり小さな子供が何人もいたりする場合も同様でしょう。
小学生の子供がいるご家庭にとって「中学受験が最優先」というのはむしろ少数派であり、通常はそれ以外にも優先すべき要因がいくつもある中で生活をしているわけです。
なので、ことさら地域間の進学率の差にフォーカスして、「地域格差がある」とか「居住地・年収・中学受験率の相関関係」というように、格差を強調したがる論調はどうなのかなとは思います。
ただこのコロナ禍でリモート授業が当たり前になりつつあります。もしかすると、中学受験塾においてもリモート化が進めば、都市部有利の構図は変わっていくかもしれません。
勉強したくても教材が手に入らないとか、勉強の機会や自由を奪われているといった「格差」ならともかく、私立(国立)中学に行かなければ学力が高められないわけではありません。
現在では、受験に必要な情報は問題集や参考書だけでなく、動画やネットなどで誰でも入手できます。勉強しようと思えばいつでもどこにでも(ubiquitous)その機会は存在しているわけです。
何でもかんでも最高の環境や最適解を求めようとする考え方は、Out of Dateであり、(実社会では)応用が利きません。
それぞれが置かれた環境で、活用できる機会を探索し、それを最大限生かす工夫が大切だと思います。