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森上 例えば数学の授業や試験勉強では、チャート式に代表されるような解き方を身に付けさせ、いかに早く正解できるか、その技を競うようなところがあります。以前、Z会で教えている石田浩一先生が、共通テスト「数学IA」が難しかった“本当の理由”と共通テスト「数学IIB」がセンター試験的発想では対処困難な理由という記事で、実際の大学入学共通テスト問題に即して詳しく分析されていました。共通テストでは、従来とは異なる資質が問われているように思いますが、その点はいかがでしょう。
西村 数学的な力には、限られた時間で速く正解を得るという力以外にも、いろいろなものがあります。私はこれをよく陸上の「十種競技」にたとえます。これまでは、そのうちの1種目、例えば100mダッシュだけ練習を積んでおけば点が取れたため、学校もその1種目ばかりに力を注いできたように思います。
この記事でも言及されている共通テストの数学(数学ⅠA、数学ⅡB)については、ダイヤモンド・オンラインの2020年代の教育で特集が組まれています。
当ブログの過去の記事でも、私自身が今年の共通テストの数学の試験を実際に解いてみた感想を盛り込みつつ、何回かに分けて扱っています。
数回にわたるかなり長い記事になっていますが、一言で言うと、制限時間という枠のある試験で思考力を問うことの難しさを実感しました。
確かに、(本来的な)数学の力は限られた時間で速く正解を得ることではありません。
しかし、筆記試験という形式を採用する以上、時間内に(より多くの)正解を得る必要があります。ご案内の通り、共通テストの試験時間は非常に短く、数学ⅠAは70分、数学ⅡBは60分です。
共通テストでは、「太郎さんと花子さんの2人の会話を読み解く」形式の問題が何題か出題されました。こうした会話は確かに思考を進めるヒント、思考を広げる手がかりにはなるのですが、必ずしも最短ルートを進む手助けにはなりません。
限られた時間の中で、太郎さんと花子さんの(長々とした)会話に付き合わなければならないのは、正直辛い部分もあると思います(私は解いていて正直辛かったです)。 😥
最初から自分の頭で思考した方が、早く正解にたどり着ける可能性も高いとも思うのです。
もちろん、「他人の考えに耳を傾け、その意図をくみ取る」という態度は(社会生活を送るうえで)非常に重要です。しかし、共通テストの数学の試験で、その態度を問う必要性があるとは思えません。
今年の共通テストの数学ー特に数学ⅠA-については、平均点から見ても、出題者の力が入り過ぎ(?)のような気がしました。
来年は多少揺り戻しがあるのか、あるいは今年の路線が続くのか…。
注目したいと思います。