
併願戦略の重要性
とはいえ、お子さんの成績を客観視して、中学入試の受験校のパターンを構築する際には『挑戦校』『実力相応校』『安全校』をバランスよく配していけば、『全敗』することなど滅多にないのです。受験勉強は膨大な時間を費やすものです。中学入試もして、それがダメだったら高校入試でよいじゃないかという考えは捨て去ってほしいのです。お子さんの努力が報われる入試にしてあげてください」
中学受験の「併願戦略」は非常に重要です。
特に重要なのは「安全校」。できれば、安全校は2校用意するのが良いと思います。
逆に、安全校がしっかり確保できていれば、チャレンジ校は(受けたいと思えば)何校受けても良いと思います。
「全落ち」というのは、中学受験で頑張った成果が「目に見える形で残らない」わけなので、お子さんも親御さんも結構しんどいと思います。
その学校に行くか否かは入学手続き時までに決めれば良いので、「安全校」を受けて最低1つの合格は勝ち取りたいところです。
氾濫する情報が「イケイケ」の保護者を作り出す
「偏差値○○以上の学校しか行く価値はない」とか「第1志望校以外の進学は考えない」とか、進学塾が受験生たちを鼓舞するために掲げるような考えを、いまは保護者が抱いてしまうようなケースが多く見受けられるようになったのだ。 (中略)結果として、中学受験にまつわるあの手この手の風説は「イケイケ」の性質を持つものばかりになる。(中略)だからこそ、さまざまな情報に右往左往させられる保護者の価値観はいつの間にか「進学塾化」するようになったのである。
確かに、中学受験に関する様々な情報が溢れており、また、偏差値至上主義的な考えになることも少なくありません。
しかし、これは親自身がまだ様々な情報咀嚼できていないため、周囲に振り回されている面が強いと思います。
つまり、時間の経過によって中学受験に対する親の考え方は変わってくるということ。
子どもが受験直前期(6年生の秋口)を迎える頃には、多くの親御さんはむしろ冷静になってきていると思います。
リモートワークで「親塾」が増加傾向
ご家庭で父親や母親が綿密なスケジュールを組んだ上で、わが子の中学受験勉強を連日指導するというものだ。コロナ禍による「リモートワーク」の広がりでその傾向がさらに強くなってきたようにわたしは感じている。 (中略)にもかかわらず、親はわが子の勉強になぜ付きっきりになろうとするのだろうか。 その回答は既出している。つまり、保護者サイドが「わが子を第1志望校へ絶対に合格させたい」という強い思いを抱いているからだ。
確かに、親としては「子供に第一志望に受かって欲しい」という思いもありますが、これは、保護者が子供を指導する理由の一面に過ぎないと思います。
他にも、「塾で教わっているのに、子供が内容を理解していないから」、とか、「子供と勉強するのが単純に楽しい」といった理由もあると思います。
また、少子化によって「一人の子供に割ける親の時間が増えている」ということも要因の一つだと思います。
「進学塾化」する家庭に潜む危険
いくら進学塾が「家庭化」しつつあるとはいえ、わたしたち中学受験に携わる塾講師は子どもたちとは「受験が終了するその日」までという「期限付き」の付き合いにしかならない。だからこそ、中学入試の合否に関するすべての責任を塾サイドが負うのは不可能である。 一方、保護者はそうではない。 中学入試の結果は子ども本人の身に降りかかるが、その結果責任の一端を負うのは保護者だ。
中学受験は単なる通過点。
「全落ち」は避けたいものの、仮に「全落ち」であってもそれほど悲観する必要はないです。
その気になれば、いくらでも挽回できるので。
中学受験の渦中にいると、「難関中に合格することがベストシナリオで、それ以外は”Second Best”」という固定観念が生まれやすくなります。
そしてこの「固定観念」は、もとはと言えば難関校(と言われる学校)の合格実績をアピールしたい塾などが作り出したものと考えれば、「そんなものに踊らされることはない。」と気付くのではないでしょうか。
それぞれのご家庭に合った中学受験の在り方が大切と思います。