【小4算数】予習シリーズ改訂と学習上の留意点(その2)

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今回は塾に通わずに、(1)予習シリーズ(本体)や(2)演習問題集を使って勉強されるご家庭が、「今一つ学習がうまく進んでいないな」という場合の解決策を提案したいと思います。

「予習シリーズ」と「演習問題集」の特徴

予習シリーズ(改訂後)の特徴

予習シリーズの問題群は、①「例題」、②「類題」、③「基本問題」、④「練習問題」に分かれています。

改訂前の予習シリーズにあった「チャレンジ問題」(実際の入試問題やその改題)と復習問題(前週の学習内容の復習問題)は改訂によってなくなったようです。

演習問題集(改訂後)の特徴

一方、演習問題集は、①反復問題(基本)、②反復問題(練習)、③トレーニング、④実践演習に分かれています。反復問題は、シリーズの基本問題や練習問題の数値替えになっています。

「トレーニング」は改訂によって新たに出来た問題群ですが、逆に改訂前にあった基本問題と練習問題が無くなっています。ということで、改訂前の基本問題と練習問題がトレーニングに代わったものと考えられます。

また、改訂後の「実践演習」は、改訂前の「応用問題」に対応していると思われます。

結局、どう変わったのか?

改訂後の4年生の教材サンプルを見る限り、問題数はそれほど大きく変わっていない(復習問題が無くなった分、若干減少した)という印象です。

ただ、前回の記事で扱った通り、改訂によって夏期講習期間中にもカリキュラムが進むことになったので、4年生全体のカリキュラムでみると収録されている問題数は増えていると思われます。

予習シリーズを使った自宅学習の留意点

「予習シリーズ」は、小4上から小6下まで全6冊(但し、小6は難関校受験編と有名校受験編の2種類に分かれる)に中学受験に必要な内容が盛り込まれています。

特に、単元学習を行う段階の小4上・小4下・小5上・小5下の4冊は、中学受験算数のバイブルとも言われます。

「予習シリーズ」には教科書的位置づけの予習シリーズ(本体)の他、予習シリーズで学習した内容について問題演習を行う「演習問題集」など様々な教材があります。

予習シリーズ(演習問題集を含む)に掲載されている問題は良問が多く、かつ、解答・解説も比較的詳しいので、塾に行かずにご自宅で勉強を進めることも可能です。

ただ、①難度が比較的高い教材であること、②教材の種類も多いこと、③塾の先生などのプロが教えることを前提としていることから、④ 使い方等について詳細な説明がない、という特性もあります。

シリーズの中核は「例題」

さて、予習シリーズの中でメインとなるのは、何と言っても例題(必修例題・応用例題)でしょう。

必修例題には類題(=例題の数値替え問題)がセットになっている(応用例題には類題なし)ので、「例題で解き方を学び、類題で解き方の定着を図る」という流れによって、例題の解法をしっかり身につけることが重要です。

必修例題は、入試典型題(あるいはその一歩手前あたりの問題レベル)と言われる問題が厳選されており、解説も(それなりに)丁寧です。例題の本質を理解し、スムーズに解けるようになれば、その週の学習が順調に進みます。

1週間の学習の中で例題をしっかり身につけて、練習問題、(演習問題集の)トレーニングや実践演習、さらには「最難関問題集」など、幅広い問題を次々に解いていくことで、算数の力を伸ばしていくことができます。

しかし、実際にはこうしたサイクルがうまく機能するケースはそれほど多くないと感じます。

例題が難し過ぎる場合ー基本問題の例題化ー

「予習シリーズ(本体)」でよく言われることの一つに例題が難しいという点が挙げられます。

小4の例題の場合にはまだそれほどレベルが高くないのですが、小4 ⇒ 小5 ⇒ 小6と進むにつれ、例題のレベルが上がってきます。特に、小6上の「難関校受験編」の例題レベルになると、Y偏差値60以上のお子さんでないと苦労すると思われるほどです。

小6上の例題は別としても、単元学習を行う小4~小5の予習シリーズの例題が理解できないと、予習シリーズを使う意味が薄れてしまいます。

こんな時、従来であれば、「基本演習問題集」を使う道があったのですが、改訂によってなくなってしまいました。改訂前のものを利用するという方法もありますが、ここでは別の方法を考えたいと思います。

それは、シリーズの「基本問題」を例題として使う方法です。基本問題はシリーズの中で最も易しい問題群です。そこで、シリーズの「基本問題」を例題、演習問題集の「反復問題(基本)」を類題と考えて、シリーズの例題・類題演習を行う前に解いておくという方法が考えられます。

これによって、勉強の中心である例題・類題演習がスムーズに進むようになると思われます。

例題・類題演習がスムーズに進まない場合、前段階として基本問題・反復問題(基本)を取り入れた学習を試してみると良いかもしれません。

練習問題が解けない理由

例題・類題の学習がスムーズに進めば、第一段階はクリアです。

例題・類題がスムーズに解ければ、基本問題は楽に解けると思うので、反復問題(基本)は解かなくても良いでしょう。

例題をクリアできれば、いよいよシリーズの練習問題に入りますが、ここでもまた結構苦戦します。すなわち、「例題は分かる、類題も解ける。しかし練習問題が思うように解けない」という事態に陥ります。

苦戦する理由は大きく2つあると考えられます。

1つは、練習問題の難度差が大きいということです。
例えば、練習問題の左側頁(1番~3番)と右側頁(4番~5番)では難易差があることが多い。なので、算数があまり得意でないお子さんの場合には、とりあえず練習問題の左側頁(1番~3番)に絞って学習することも検討できます。

もう一つの理由としては、練習問題が例題の数値替え問題ではないという点が挙げられます。つまり、例題の解法を当てはめれば練習問題が解けるわけではなく、例題の考え方を応用して解く問題が多くなっているということです。

もちろん、例題の考え方がしっかり身についていれば(全部とは言いませんが)練習問題は解けるのですが、1週間という限られた単元学習の期間では例題の深い理解までには至らないケースが多い

しかも、練習問題だけでなく、演習問題集の他の問題(トレーニングや実践問題)、さらには「最難関問題集」まで手を付けよう…などと考えると、かなりしんどい。

小4あたりまでは何とかこなせても、小5以降になると、量を追うあまりすべてが中途半端になってしまう危険性があります。

そこで、解決策としては以下の2つが考えられます。

解決策(その1)ー例題学習を深めるー

こなそうとする問題に追われてしまうと、肝心の例題の理解が疎かになってしまいます。

例題の理解が不十分なまま問題演習をしてもほとんど身につかず、問題演習をしても最悪、解答を写すだけという悪循環が起きます。

こうした悪循環を断ち切るために、例題学習にじっくり時間をかけて理解を深める方法が考えられます。

具体的には以下のような学習となります。

① 例題を自分で解く。
② 解説をじっくり読んだり、あるいは、予習ナビを視聴する。
③ ②の学習の際に単に答えが合っているか否かだけでなく、自分の考え方が正しいどうかを確認する。また、講師の説明などで気付いたことを書き留める
④ 不明点等があれば、親などに聞いて解決する

この方法のメリットとしては、①理解を深めるという点で本質的な学習になること、②解法暗記ではなく、「なぜか?」を考える学習姿勢が身につくことが挙げられます。

一方、デメリットとしては、①理解を深めるという学習法は小学生には難しい面があること、②(動画視聴などはかなり時間がかかるので)演習問題量はあまり増やせないこと、が挙げられます。

解決策(その2)ー練習問題・反復問題(練習)の例題化ー

もう一つの方法は、どちらかと言えば解法暗記に近い方法です。
例題・類題を解く所までは同じですが、ある程度理解できた所で次のステップに進みます。

① 練習問題を解いてみる。
② 少し考えて分からなければ解説を読んで理解する。
③ 解説を理解したら、対応する演習問題集の反復問題(練習)を自力で解く。

練習問題と反復問題(練習)を例題・類題化し、シリーズの例題と類題を拡張する方法です。

本質的な学習方法とは言えないかもしれませんが、前述の例題の理解を深める勉強よりは(小学生には)ハードルが低いというメリットがあります。また、解ける問題が増えてくると自信がつくという面もあります。

「例題深堀り型」、「例題拡張型」のどちらがお子さんに合うかは分かりませんが、ご自宅で予習シリーズを使っているものの、「なかなかうまく学習が進まない」場合には試してみる価値はあると思います。

 

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