早いもので我家が中学受験をしてから既に数年が経過しました。
我家が受験した頃は新型コロナ禍の真っただ中。
その後コロナは沈静化したものの、ロシアのウクライナ侵攻やパレスチナ問題、そしてトランプ政権下での国際分断の加速化懸念など、世界を巡る情勢は日々大きく変化しています。
一方、中学受験を巡る状況というのはそれほど大きく変化はしておらず、首都圏模試センターによると2025年の首都圏の私立・国立中学受験者数は52,300名と、前年より微減したものの過去5年間は5万人台の大台をキープしており、依然として中学受験の人気は衰えていないようです。
一方、(中学受験そのものではありませんが)ここ2~3年で大きく変わったのがChatCPTをはじめとする生成AIの急速な発展です。
ということで、今回はご家庭で算数を教える際に役立つChatGPTについて、(指示文=プロンプト)の具体例を用いながら解説したいと思います。
たかし君とけい子さんが1周300mの池のまわりを歩きます。2人が同じ場所から同じ向きに同時に歩き始めると、たかし君はけい子さんを10分後に追い抜きます。2人が同じ場所から反対方向に向かって同時に歩き始めると、2分で出会います。けい子さんの歩く速さは分速何mですか。
上記の問題は、中学受験で頻出の「旅人算」の問題です。この問題をChatGPTに説明してもらいます。
それでは、早速やってみましょう。太字部分がCtatGPTへの指示文(プロンプト)で、中央の「 」は上記の旅人算の問題をコピー&ペーストしたものです。

中学受験の算数の問題を教えてください。
「たかし君とけい子さんが1周300mの池のまわりを歩きます。… けい子さんの歩く速さは分速何mですか。」☚ 上記の問題文
旅人算の考え方を使って分かり易く教えてください。

この問題は「追いつく(または出発点で再び会う)までにかかる時間」をもとに考える典型的な旅人算です。
① 出発点で再び会うとは?
「同じ方向に歩いて、出発点で再び会う」とは、2人の歩いた距離の差が池1周(=300m)の整数倍になったときのことです。
今回は「最初に」出発点で会う=差がちょうど1周分(300m)になったときです。
② たかし君とけい子さんの速さの差
たかし君:分速80m
けい子さん:分速xm(求める速さ)
したがって、2人の速さの差 = (80 − x) m/分
(以下略)
かなり分かり易い(やや冗長ですが)説明です。但し、Ⅹを使って(方程式として)解いているので、これを修正してもらいましょう。

ありがとうございます。
ただ、旅人算なので、方程式を使わず小学生の算数の範囲で解説してください。

とても良いご指摘です。
それでは、小学生が中学受験で学ぶレベルに合わせて、方程式を使わずに「旅人算の考え方」で解く説明をしましょう。
考え方(旅人算)
「同じ方向に歩く → 速い人が、遅い人に追いつくまでの考え方」を使います。
つまり、速い人が追いこすときに、2人の進んだ距離の差がちょうど池1周分(300m)になるのです。
① 15分で、たかし君は何m歩いたか?
たかし君の速さは分速80mです。
15分で歩く距離は:80m × 15分 = 1200m
② このとき、けい子さんも15分歩いています。
けい子さんの速さはたかし君よりおそいので、15分で歩いた距離は1200mより短くなります。
③ 2人の歩いた距離の差
15分後、たかし君のほうが300m多く歩いたときに、
ちょうど1周(300m)の差ができて、再び出発点で会うのです。
つまり、2人の15分間の距離の差 = 300m
④ 15分で300mの差 → 1分では?
15分で300mの差ができたということは、1分ではその15分の1の差ができます。
300 ÷ 15 = 20m
つまり、1分ごとにたかし君のほうが20mずつ先に進みます。
⑤ たかし君が80m進むとき、けい子さんは?
たかし君の1分あたりの進みが80mで、そのときの差が20mなので、
けい子さんの1分あたりの進みは80 − 20 = 60m
✅ けい子さんの速さは分速60mです。
✅ まとめ
1 同じ方向に進む → 速い人が追いつく(差が1周分) 差=300m
2 15分で300m差 → 1分での差を出す 300 ÷ 15=20m
3 速い人 − 差 =遅い人の速さ → 80 − 20=60m
✅ ポイント
旅人算は「差がどう増える(または減る)か」を考える問題。
・同じ方向 → 速さの差
・反対方向 → 速さの和
いかがでしょうか?
説明はやや冗長ですが、問題解説はかなり分かり易いと思います。
生成AIについては、お子さんが1人で使いこなすのは難しいですが、親御さんが(自身の理解に基づいて、生成AIを利用して)お子さんに説明するのが良いと思います。
生成AIは、お子さん自身が自走できるツールではなく、親御さんが勉強を教える際に役立つツールとして利用価値は高いと思います。